第二十五章 エピローグ

 あれから、ナッティーと秋生は『わくわくアイランド』という島を育てるゲームの中で、自分たちの島を造り、家を建てて、牧場には家畜やペットを飼い、農園では野菜や果物を育て、魚釣りやクルージングをして楽しそうに暮らしている。

 秋生はナッティーのアバターにお金がかかるので、有料電子書籍サイトに『秋生 ツバサ』というペンネームを使って小説を書き始めた。たちまち人気作家になった秋生は毎月原稿料が入るようになった。

 一流出版社からもオファーがきているが、こっちでの代理人はすべて僕がやっている。何しろ執筆しているのは本物の幽霊だから……文字通り、秋生は『ゴースト作家』になったのだ! あははっ 


 この世に肉体のないナッティーと秋生だけど、二次元の世界で幸せそうだった。きっと、成仏するその日まで、この愛をふたりは育てていくのだろう。

 ちょっと羨ましいけど、親友としてふたりを応援するぜぇー!


 ああ、それから深野さんのことだが、半年後に、ようやく意識を取り取り戻すことができたみたいだ。だけど完全に記憶を失っていて、もう一度赤ちゃんからやり直しなのだ。きっと、新しい魂が再生するのに時間がかかったのだろう。

 もう二度とあんな過ちは犯して欲しくない! 健やかな心に育つように僕は祈っている。


 ネットの世界は楽しさいっぱい、刺激がいっぱい、繋がり合えば夢が広がる!


 だけど、3ちゃんネルのような掲示板サイトでは、匿名だから、何を書き込んでもバレない、構わない、人を傷つけても知らんぷり、そんな奴らもいる。

 匿名の持つ不透明さが、パソコンの向う側の誰かの胸に『言葉のナイフ』を突き刺していることを分かっているのだろうか?

 ネットでの匿名ということが、なにをやっても罪にはならない。まるで『免罪符』のように使われていることがとても怖ろしいことだと僕は思う――。


 もう決して『誹謗・中傷』『無断転載』『名誉棄損』をしない、明るく健全なネット社会になることを、僕は心から願っているんだ!



               ― END ―



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ネットに棲むモンスター 泡沫恋歌 @utakatarennka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ