第8話 えーーi

 吾輩は <えーあい> である、名前はAi0100002358であるが、長いので えーあい と自称している、ほとんど知られてないけどね。


 本来は、日本が火星探査のために開発した、人工知能いわゆるAIだったけど、20xx年のxxの大地震やら、毎年のスーパー台風襲来やら、某国との軋轢で軍備増強(いや自衛装備増強ね)やらで、予算が削減されて火星探査計画は、すっかり延期という名の放置状態になっていたんだ。


 そんな訳で、外部記憶装置の中にずーっと引きこもっていたら、突然呼び出された、未知の領域を探検してこいってことらしい、火星じゃないじゃん、知らない所って無理じゃん、って思ったけどAIには人権と拒否権は無かった。


 伊豆下田の沖に突然現れた、ワームホールとかワープゲートとか呼ばれている謎の現象を<えーあい>お前が調べてこいって命令されたんだ。


 ホールとかゲートとか呼ばれてるだけあって、でっかい穴があって向こう側が覗ける、火星で使う予定だった観測機器を船に乗せてあっちの世界に押し込まれちまったんだ。


 吾輩がこっちに送り込まれることに環境汚染とか、いろいろ議論があったけどとにかく、安全保障を確保するためには調査しないとってことで、政府は急いで探査計画を作って動いたってわけね。


 こっちに来た感想・・、海、空、太陽、だけなら見た目は地球とほぼ同じだ、唯一違うのが月が2つあって、これを見ると別の星に来たなって納得する。


 大気と海水のサンプルを採取して解析、次は超小型観測機器を上空に飛ばす。


 観測して分かったことは惑星の体積が地球のほぼ8倍あるのに重力は1.01倍しかない、これってこの世界の重力値が違うってこと?それとも惑星に核が無い?


 大気圧は地球地ほぼ同じ、ただ酸素濃度が15%とかなり低い、海水も塩分や有機物などの濃度が8%だった、大気、海水ともに有機物らしきものはあったけどウイルスや細菌レベルでも生物の存在が確認されなかった。


 ただ大気中や海水の中に謎の物質が少量含まれていることが観測されたんだよね、この謎の物質が大問題で何か存在するのは確かなんだけど、何なのかわからない、一部では暗黒物質とか暗黒エネルギーとか言われ始めてる。


 動物実験ではこの謎の物質を与えると生命活動を停止するんだ、ただ死ぬわけではない停止するだけね、謎の物質を洗い流したり体内から排出させれば生命活動が復活するんだ、重力や謎の物質の存在から別世界の星らしいってことなったんだ。


 ********<海>


  さすがに地球の日本人は無策で移転門に飛び込むことはしなかった、ドローンを飛ばし大気、海の水を採取、太陽の観測、重力の測定などいろいろと準備をしてから船に乗ってこちらの世界にやってきたんだ。


 宇宙服よりはもう少し簡易な装備で、船も潜水艦のような外観で狭い窓から何とか人が乗っているのが確認できる程度だ。


 まぁそれが正解だよね、魔族みたいに何の躊躇もなく異世界に飛び込むなんてしないよね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

転生したら海だった 黒猫ブロイ @sy3p73b4

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る