第12話 星姫守護機神の剣

 世界に『星姫守護機神スタープリスガーディアン・アーレスディーテ』が顕現した時、


 ハルチカはその内部に自分が裸でいる事に気付く、


 目の前には半透明で、同じく裸でいるレイとコーリ。


『ハルチカ!時間が無い!』


 えっ?


 チンがハルチカに警告する、『ハルチカ、早すぎだ!あれじゃ、『星姫守護機神スタープリスガーディアン』に充分な『星力せいりょく』が送られて無い!』


 ハルチカは内心、そっ、そうだよなぁと思い、今までの経験からやっぱり、と納得するハルチカであった。


 そっ、それでどうなっちゃうの?


『『星姫守護機神スタープリスガーディアン』の起動時間が三分しか無い!』


 えっ!三分!!・・・そんな短い時間で、大丈夫なの?


 チンは自信満々の声で、『大丈夫だ、一気にケリを付ければ、三分の間でヤツを倒せる!』


 良かった。


『その為には、ハルチカ、俺の指示に従え、今度は俺が許可する迄、!』


 わっ、分かった。


 チンも納得したのか、落ち着いた声で、『作戦はこうだ、まず火姫プリンセス・マーズ星姫守護機神スタープリスガーディアンを操縦してヤツを星界近く迄、放り投げる!』


 つまり、大空に向かって出来るだけ高く魔獣を投げ飛ばせばいんだね。


 チンは頷きながら、『そうだ、そして今度は操縦を金姫プリンセス・ヴィーナスに変わり、星姫守護機神スタープリスガーディアン星輝砲スターライトキャノンでヤツをチリに返す!』


 つまり、大空にいる魔獣を、ヤツが地上に落下する前に撃ち落とすんだね、


 確かに其なら、魔獣が破裂した時の被害が地上には起こらない、良い作戦だね。


 チンは再び頷きながらも、『そうだ、だが、此の作戦には、問題点が二つある、まず一つ目の問題点だが、ヤツを星界に投げ上げるのと撃ち落とすのに、二人のプリンセスのどちらの星力せいりょくも足りない!』


 星力せいりょくが足りないって!まさか、


『そのまさかだ、火姫マーズは魔獣を倒す為にかなりの星力せいりょくを使った、金姫ヴィーナスもお前を救う為に多くの星力せいりょくを使った、だから補充していないから、残りは僅かだ。』


 補充って、やっぱりあれの事だよねぇ。


『そうだ、ハルチカ、足りない分をお前が彼女達に補給しなければ駄目だ!』


 僕が、彼女達に補給するって、そりゃ無理だよ、あんな状況で、どうすりゃ良いのさ、


『そうだな、もう少しハルチカのレベルが上がれば、『星愛世界スタラブルワールド』が使えるようになるんだが、まぁ、此の空間でも、彼女達に補充出来る。』


 えっ、するの?


 チンは頷きながら、『勿論だ!彼女達も其を望んでる、ハルチカ』


 の、望んでるんだぁ。


『でっ、問題の二つ目は、ハルチカ!お前の残った星力せいりょくを等分に彼女達に分け与えなければならない!』


 ハルチカは、今一いまひとつ、ピントこないので、チンに聞く、


 ええっと、一回して、二回する事と、どう違うの?


 チンチンを振りながら、『違う!そんな時間は無い!火姫マーズへの星力せいりょくの放出を途中で強制的に止め、直ぐに金姫ヴィーナスに放出する、どちらも中途半端だと此の作戦は失敗する!』


 ちょっと待って、あの凄い力の放出を、僕が、此の僕が途中で止めるの!


 チンはキッパリと、『そうだ、ハルチカ、お前が、お前自身が、お前の力の放出を死んでも止めろ!!』


 死んでもって・・・・分かった、やってみる。


 剣がレイを指し示しながら、『まず火姫マーズだ、彼女とハルチカが重なった時、此の作戦が始まる、急げハルチカ!』


 此の間、現実時間の百分の一秒!


 今、ハルチカは目の前の半透明のレイの後ろに立ち、


 背面立位バックスタンディング・ポジション


 ф←


 ハルチカがそのケンをレイに射し込んだ瞬間、


 ←ф




 レイティシア・バリデュワは、ハルチカが御神体を掴んで絶叫を上げた時、気が動転して、慌ててハルチカに駆け寄った瞬間、突如、ハルチカと自身から沸き上がった赤い光と白き閃光に思わず、瞳を閉じ、


 再び、目を開けると自身が千メータの高みから『星霊山せいれいざん』がある高原を一望している事に驚愕する。


 そして、目の前に自分と同じ大きさの『超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか・バリガンギアス』がガシガシと『星霊山せいれいざん』の柱壁ちゅうへき破壊している事に気付いた時、


 自身に差し込まれた、暖かく、優しく、そして力強い力を感じ、思わず声を上げる、「ハル!」


『レイ!聞いてくれ!時間が無い!ヤツを大空へ!星界に向かって放り投げるんだ!』


 レイは直ぐに、ハルチカが何を言いたいのか理解した!


 其こそが、『きずな』!


 其こそが、『あい


 レイは答える、「うん!分かった!ハル!」


 と、同時に星姫守護機神スタープリスガーディアンが走りだす!


 ズシン!ズシン!ズシン!


 一千メータの巨体が、大地を陥没させながら、大噴煙を巻き上げながら、大木を踏み倒しながら!


超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか・バリガンギアス』に迫る!


 流石に『超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか・バリガンギアス』も後方から沸き上がる地響きに反応して後ろを振り向き、


 ギャアワアオオオオオオオ!


 其の巨大で狂暴な四本の剛腕を振り上げ!


 \\(#▼(エ)▼*)//


 星姫守護機神スタープリスガーディアンに降り下ろそうとした瞬間!


 ヽ( ゚∀゚)ノ┌┛☆*☆(▼(エ)▼#)


 剛腕の下を掻い潜り、


 ドッガアアアアアアンン!!


 と、『超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか』の下半身に渾身の跳び蹴りを食らわせ!


 グワッ!!!


 その一撃で『超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか』が空に浮いた瞬間、


 ガシッ!!!


 星姫守護機神スタープリスガーディアンが下より『超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか』を掬い上げ!


 レイが絶叫する!


「ウァアアアアアアア!!!」


 、と叫びながら『超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか』を持ち上げ!


 ケンが怒鳴る!


『今だ!ハルチカ!出せ!!』


 その声を聞いたハルチカ!


「ウォオオオオオオオオ!!」


 ハルチカも絶叫しながら、


 ドバッシュ!


 星力せいりょくがレイに注ぎ込まれ!


 その瞬間、レイは自身の力が三百倍に膨れ上がった事を知り!


「ダァアアアアアアア!!!」


 レイはその全ての力を使い、『超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか』を、


 大空へ!!


 星界へと投げ飛ばす!!!


 ドッバアアアアアンンン!!!


 ヽ( ゚∀゚)ノ∋∋∋∋m(#◎(エ)◎*)m


『止めろ!ハルチカ!!』


 ケンが再び怒鳴り、


 ドッバ!


 ハルチカは、全身全霊でその力の激流を押さえる!


 ビッタアアアアン!!!


 力の反動は、水金槌ウォーターハンマと化して、ハルチカを襲う!


 ドッガガガガガガガガ!!!


 ハルチカは、再度絶叫するも、歯を食い縛り!


「グゥワアアアアア!!!」


 叫びながら必死で力の流れを止める!!


「グワッ!!!」


 ハルチカは口から吐血するも、前を睨み、必死でレイから離れる!


 スポン!


「えっ!」


 レイは力の激流が突如、止まり、更に自分を暖かく包み込むハルの気持ちも離れてくのに気付き、


「あっ!」、と思わず声を出す!


 レイの気持ちは、もっと、ハルチカもっと、と願い、


 しかし、彼女はハルチカが何故、その激流を無理やり止めて迄、自分から離れてくのかは理解していた。


 ハルチカはコーリの処へ向かった、次はコーリの出番、頑張れ、コーリ、ハルチカ、


 と、彼女は心の中で、二人を応援する。




 ハルチカはそのツルギをレイから引き抜いた後、直ぐに、コーリの後ろに立ち、ケンを構える、


 其は、時間との戦い!


 一瞬でも気を許せば、吹き上がる星力せいりょくほとばしり、全てが終わる!


 ハルチカのケンは破裂寸前迄膨れ上がる!


 ф←


 ハルチカはコーリに対して一気に、そのケンを差し込む!


 ←ф


 ドシュッ!!!



 コーネリア・ロンディーヌは、ハルチカが御神体を握って絶叫している時、必死でハルチカから御神体を離そうとした瞬間、


 黄金と白き閃光に包まれ、瞳を閉じ、そして再び瞳を開いた時、


 自身が千メータの高みから『星霊山せいれいざん』がある高原を一望している事に驚き、


 コーリは、自身が巨人になっている事に瞬時に気付くのだが、今の自分ではその巨人を動かす事が出来ない事も同時に理解し、


 そして、巨人が走り始めた時、此の巨人がレイとハルチカによって動かしている事も、彼等が二人がかりで、あの巨大な魔獣を天高く放り投げた意味も、自然と彼女の心の中に入ってきた。


 コーリは思う、次は私の番だと!


 ハルチカの気持ちが、私には分かる!


 其こそが、『きずな』!


 其こそが、『あい


 次は自分の番だと、高鳴る気持ちを押さえながら、ハルチカを待つコーリ、


 そして、自身に差し込まれた、ハルチカの暖かく、優しく、そして力強い力を感じた時、


「ハル!」と、その愛しき人の名前を呼ぶ。


『コーリ!時間が無い!『星霊回路せいれいかいろ』で、星輝砲スターライトキャノンをヤツに撃つんだ!』


 ハルチカの力強い指示がコーリに届き、


星霊回路せいれいかいろ』?


 とコーリが思った瞬間、


 パラパラパラパラパラパラ!


 目の前に半透明の美しい模様が描かれた回路図が数百枚めくり上がり、


 パシッ!!!


 その内の一枚がコーリの目の前で広がる!


 此は!




 星層圏せいそうけん迄飛ばされた、『超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか』はゆっくりとその上昇スピードが減速してき、やがて、遂に速度の数値がゼロになった時、


 ☆ m(#▼(孟)▼*)m ☆ ☆


 ギャアワアアアアアア!!!


超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか・バリガンギアス』は雄叫びを上げながら、地上に落下を始める!



星霊回路せいれいかいろ星輝砲スターライトキャノン


 その回路の美しさに、コーリは愕然とする、


星霊回路せいれいかいろ』の基本構成は『摩導回路まどうかいろ』と殆ど同じ、違うのは作成している力、前者は『星力せいりょく』、後者は『摩導力まどうりょく』、


星力せいりょく』で描かれた回路は美しく光、輝いていた。


『コーリ!急いでくれ!!』、その暴走する憤怒の力を必死で押さえ込んでいる、ハルチカはコーリをかす!


 慌てて、コーリは『星霊回路せいれいかいろ』に『星力せいりょく』を流した瞬間、 


 白き巨人の女神、『星姫守護機神スタープリスガーディアン・アーレスディーテ』が直立不動で天空を見上げ、右手を

 水平に胸に手を当てた時、


 シュワァアアアアアア!


 その頭上にある白き宝冠の黄金の宝珠が黄金に光輝きコーリの『星力せいりょく』を高速に吸い上げ、


 スパアアアアアアアンン!


 その回りに『星霊陣せいれいじん』が、沸き起こる!


星霊陣せいれいじん』は更にコーリの『星力せいりょく』を吸い上げ、


「あっあああ!」、その急激な飢餓感にコーリは、思わず喘ぎ声を上げ、


 コーリが、その意識が飛びそうになった時、


超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか・バリガンギアス』の落下高度が、地上より後五千メータに達した時、


 ズッガアアアアアアンンン!!


星霊陣せいれいじん』が最大の大きさで高速回転を始めた瞬間!


 ケンが怒鳴る!


『今だ!ハルチカ!出せ!!』


 その声を聞いたハルチカ!


「ウォオオオオオオオオ!!」


 ハルチカは再度、絶叫しながら、


 ドバッシュ!ドバッシュ!


 残りの全星力ぜんせいりょくをコーリに放出した、


 その時、


 バッコオオオオオオンンン!!


 巨大な豪輝線が『星霊陣せいれいじん』から放たれる!!


 豪輝線は真っ直ぐに、落下してくる『超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか』をぶち抜き、


 ∋∋∋m(#☆(エ)◎*)m∋∋∋


 ドッパアアアアアアンン!!!


 天空、五千メータの上空に直径一千メータの巨大な黄金の光球が浮かび上がる!


 終わった、レイもコーリもハルチカも、誰しもがそう思い、


 ピッコン!ピッコン!ピッコン!


 白き巨人の宝冠の宝珠が赤く点滅を始めて、残り時間が三十秒を切った事を知らせ始めた時、


 黄金の光球の中からゆっくりと下半身の無い、『超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか』が落下して来る!!


 ケンが、『やっぱり、星力せいりょくが足りなかったか。』


 えっ、足りないって!


 ハルチカは気が動転して、急いで、再び、コーリに更に『星力せいりょく』を放出しようと、


 ф←


 ←ф


 ドシュッ!ドシュッ!ドシュッ!


 と繰り返すも、


 塵の一滴も出ず、


超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか』はみるみる、体が復元し始め、右足がニョロっと生えて、


 地上迄、後五百メータ!


 ピコ!ピコ!ピコ!ピコ!


 白き宝冠の宝珠の警告はより早まり、残り時間十五秒!


 ダメだ!ダメだ!ダメだ!


 ハルチカが絶叫するも、


超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか』との距離、三百メータ!


 レイに、コーリに、ハルチカに、絶望がよぎった時、


『仕方ねえなぁ、』


 その声の主は、明るく、陽気に、


『ほら、此で終わりだ、下僕おもちゃ!』


 その瞬間、ツルギは光輝き、


星輝豪爆スターライトバースト』、とツルギが叫んだ瞬間!!


 ズダダダダダダダダダ!!!


 万を超す、輝線が『超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか』に集中し、


 ダメだ!コーリン!


 更に巨大な星力せいりょくが放出され!


 それ以上、力を使っちゃダメだ!


 今、始めてハルチカはコーリン・オーウェルに怒鳴った!


 ドガァガガガガガガガ!!!


 万を超す輝線は、『超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか』を数百万の塵として切り刻み、


『大丈夫だ、ハルチカ、また少し眠るだけだ。』、コーリンはハルチカを安心させようと声をかける、


 しかし、その声は小さくか細い、


 嘘だ!


 ハルチカはコーリンが己れの存在を賭けて、自分達を救おうとしている事を知っていた!


 僕を安心させる為に、寝たふりは止めてよ!コーリン!


 バゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!


 『超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか』が分子レベル迄、粉砕され、


『ハル・・・知ってたのか。』


 分かるよ!貴方と僕の関係だよ!!


 スッコオオオオオオンン!!


 全てを消滅させる光が天空に一際輝いた時、


 その声は、


 今にも消えそうな、その声は、


『聞いてくれ、ハル、お前が俺を信じていてくれたら、またきっと会える、だが、もし会えなくても、今のお前には三人のなかまがいる、そして、ハル、後、三人のなかまを探すんだ!』


 コーリン!コーリン!ダメだよ!僕は貴方がいないと!


 ハルチカは泣きながら、自身のケンに行かないでと願い、


 ケンは更に、小さな声で、


『相変わらず、ハルは泣き虫だな、最後に名前を言ってくれて有難な・・・それと・・・ハル・・・出来たら、七番目のなかまを救ってくれ』


 その瞬間、


 スッパーアアアアンンン!!!


 白い巨人は光に包まれ、光は小さな光を生み、


 赤、黄金、白の光玉になって、


星霊大社せいれいたいしゃ』の本殿の中庭、


 アンリとドリスの前に、


 巫女長ミコマスタの前に、

 

 其々の光が集まり、


 三つの光が一際輝いた時、


 赤い光の中から、元の姿のレイティシア・バリデュワが、


 黄金の光の中から、同じく元の服装の姿で、コーネリア・ロンディーヌが、


 その真ん中の、白い光が消えると、其処に、御神体を右手に握り締めて、床に膝を付きながら、大粒の涙を流して座っている、ハルチカ・コーデルが現れ、


 アンリもドリスも何が何だか分からないので、コーリとレイを見るも、


 コーリとレイはお互い目配せをすると、ハルチカの両側に膝不味き、二人はハルチカを抱き締める。


 コーリは、ハルチカに、「コーリンは行ってしまわれたのですね。」、と尋ね、


 ハルチカは涙を拭いながら、「うん、行ってしまった、全ての力を使って僕達を救う為に、だから、彼は・・・眠りについた。」


 レイは、ほっとしながら、ハルチカをぎゅっと抱き締め、「何だ、じゃ、ハル、元気を出しなよ、また戻って来るって!あの女の子が大好きな、コーリン・オーウェルだよ、伝説のコーリンだよ!あたし達を見捨て無いって!」


(⌒‐⌒)


 ハルチカはレイの励ましに、何とか答えようと、「そっ、そうだね、・・・そうだね、彼は絶体、戻って来るよね!」


(ノ´∀`*)


 コーリも優しく、ハルチカを抱き締めながら、「私も信じてます、彼が貴方の前に、私達の前に再び現れる事を、」


(〃⌒ー⌒〃)ゞ


 ハルチカは、コーリとレイを見ながら、「有難う、コーリ、レイ」、と御礼を言う。


(*´ー`*)


 此の状況が、全く分からないアンリだが、ただ一つ理解出来た事は、


 自分達が助かった事と、助けてくれた人が犠牲になったらしい事と、コーリもレイも、何だか頼りない、端から見たら、ダメダメなハルチンと、


 相思相愛になったって事で、


 ちょっと、ハルチンに腹を立てる、アンリであった。


(=`ェ´=)


 流石におっとり屋のドリスも、事態が終わった事に気付き、そして、アンリを除いて皆が仲良くハル君を慰めている事にホッコリする、ドリスであった。


 o(*⌒―⌒*)o




星霊大社せいれいたいしゃ』を襲った、白い熊の暴虐の嵐も、コーリがハルチカを救う為に使った、『黄金回帰ゴールドリカージョン』で全て元に戻ったので、大社には被害も無く、


超魔獣殿下すーぱーまじゅうでんか・バリガンギアス』が削った『星霊山せいれいざん』の山柱さんちゅうも、山が崩壊する程の被害では無く、


 また、奇跡的に死者がいなかったので、怪我人は『黄金回帰ゴールドリカージョン』の発動時に、怪我した人の全てが健康な状態に回帰したので、取分け問題にする事も無く、


 後は、此の事件を早く忘れる為に、レイ、コーリ、アンリとドリス、そしてハルチカも、春休みが終わる迄、思いっきり遊ぶ事にした。


 また、コーリンを失なったハルチカの心の喪失感そうしつかんは、再び彼のツルギを大地にうなずかせるが、


 レイもコーリも、ハルチカの失なった者の大きさを知っているので、


 彼が、再び、自ら立ち上がる事が出来るように成る迄、


 決して、焦りはしなかった。


 二人は、ハルチカを信じていた。


 五人は、キャンプや、北の海への小旅行、ボルケン共和国の首都、ルーティアでの買い物ショッピング等、楽しい日々を過ごし、


 そして、4月、バンチニア高校の新学期が始まる、三日前に、バンチニアの町に戻る為に、ロンディーヌの自家用摩導船は『星霊山せいれいざん』を後にした。


 帰りの魔導船の中で、目の前の座席で仲良く寄り添いながら寝ている、コーリとハルチカを見たアンリは、


 彼女はため息を付きながら、


「・・・コーリは、元々、美人だったけど、何処か陰があって、其が損をしていたのに、今やその陰も無く、本当に輝く程の美人に見えるのは、一体、何故なんだ!」、とちょっと羨ましそうに呟く。


 ┐( ̄ヘ ̄)┌


 其を聞いた、ドリスはおっとりと、「あら、あら知らないの、アンリ、恋する乙女は綺麗になる、昔から言われてるのよ。」


 o(*⌒―⌒*)o


 アンリは呆れながら、「ドリス、それは、都市伝説!そんなんで綺麗になれるなら、皆、恋してるって!」


 ドリスは可笑しそうに、「あらあら、相変わらず、アンリは夢が無いんだから。」


 アンリも笑いながら、「まぁ、切った張ったの不動産屋の娘だし、」


 アンリは思う、でも、何だか、レイ、コーリ、エミリア、・・・何だかハルチンと関係した娘は皆、綺麗になってる。


 偶然?


 アンリは、一言、


「まさかね。」


 四人を乗せた魔導船は、バンチニアに向かって夜空を飛行する。


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