第8話 暴虐、白き熊の剣

 それは、ゆっくりと目を覚まし、そしてそれは、自分を産み出す為の道具おもちゃの一つが壊れた事を知った。


 それはその事を知ってちょっと驚き、何故壊れたかを考えた。


 しかし、それはまだ目覚めたばかりで、あまり考える事が出来ず、直ぐに考える事を止めた。


 それが考える事はただ一つ、早く生まれ、早く破壊し、早く作り替えたい!


 それは赤子の思考、そして、それは手にもう一つの遊具おもちゃを取り出し、その遊具おもちゃに話し掛ける、


『早く遊びたい!』


 その遊具おもちゃは答える


『もう少しの辛抱です、もう少しで六の星の巣女なえどこが揃います!もう少しです。』


 その遊具おもちゃの答えを聞いたそれは、


『・・・分かった。』


 と答え、ゆっくりと目を閉じた。





 かってコーリン・オーウェルがその膨大な星力を使って作ったと言われている、霊峰、『星霊山せいれいざん』その形は直径一千メータ、標高、五千メータ、の巨大な円柱で、先端は巨大な半円形に盛り上がり、其の先端の割れ目にはマグマの吹き溜まりが出来ている、別名、火の山とも言われ、火の星を守護星にしている者の聖地でもある。


 星炎大社せいえんたいしゃは頂上の自然に作られた洞窟の中に有り、昔は頂上の大社に行くのには、外周に作られた螺旋階段を二日掛けて登らなければならなかったのだが、現在は内部をくり貫いて、摩導上昇下降機が取り付けられ、ふもとから頂上まで一時間で行けるようになった。


 勿論、此の事業に出資したのはロートスグループであり、


 ゆえ星炎大社せいえんたいしゃを運営する、バリデュワ家とロートスグループのロンディーヌ家は裏で深く結び付いていた。


 時は少し戻り、大社の奥の殿に一人の来客があり、老巫女長ミコマスタが相手をしていて、彼女の後ろには一面に御簾 みすが張られ奥に誰がいるか分からないようになっていた。


 沢山の取り巻きを引き連れた来客者は、北方連合で一番の大国、ルーティア共和国の若き総首、バリーガント・デュランゲス、歳は三十代前半、年齢の割には金髪の髪は薄く、身長は軽く二メータを超え、体は筋肉の固まりで、見るからに精力絶倫野郎である、事実、彼は熊ともやったと言われる程の強者つわものだった。


 バリーガントは怒っていた、「婆!お前、俺に姫巫女ひめみこくれるって言ったじゃねえかぁ!!!今さら約束破るってのかぁああああ!!!」


(#▼益▼*)つ〃∩ ゴルァ ゴルァ ゴルァ


 ダアーン!


 思いっきり、グウパンで床を叩くバリーガント!


 しかし、高齢の老巫女長ミコマスタはそんな脅しに屈せず、「わしゃ、姫をお前さんにヤル等とは一言も言っとらん!」


 バリーガントは果て? って顔で、横の記録官に聞くと、記録官は、「確かに言ってはおりません、閣下が最後に、『俺が欲しいと言ったら、皆んなが俺の欲しい者を差し出す、だから婆も俺の欲しい者を差し出す、だから差し出すと記録しておけ、』と言われました。」


 バリーガントは納得して、「なんだ、婆、言ったんじゃねえかよ!」


 老巫女長ミコマスタは呆れた、「そりゃ、お前さんが言った言葉じゃろうがぁ!」


 !Σ( ̄□ ̄;)


 バリーガントは笑いながら、「がぁはっはっは、婆、細けぇ事はきにするなぁ、俺はコーリンの子孫にして、コーリンの力を受け継ぐ者だ、だから、ルーティアの民は俺を総首にした、分かるよな婆、コーリンから受け継いだ俺の人並み外れた星力せいりょくを沈めるのには、もう熊じゃ無理なんだよ、姫巫女ひめみこの力がいるんだ、頼むよ、婆、俺に姫巫女をくれ!」


(∩▼Д▼*)ノ


 巫女長ミコマスタは、首を振りながら、「駄目じゃ、此の大社の姫巫女を相手に出来るのはまことなるコーリン・オーウェルのみ、一般人ではその炎にせいが焼かれ、残るは燃え滓!危険過ぎる!今まで代々の姫巫女に挑戦する若者が後を絶たず、だが成功した者は誰もおらぬ!今代こんだいの姫巫女はそのような悲劇を嫌い、誰とも添い遂げる気は無いと申しておる、お帰りになられよ、バリーガント殿!」


 バリーガントは子供のように駄々をこね、「だぁかーらぁ、俺だったらぁ、大丈夫だって言ってんだろうが、なぁ、婆、分かってくれよぉ、俺に、姫巫女を寄越せって言ってんの!」、と言いながら、そのグウパンを老巫女長ミコマスタに向けようとした瞬間、


 後ろの御簾 みすから声が、『めろ!バリーガント!』


 バリーガントは嬉しそうに、「やっと出てきたな、火巫女ひみこ、レイティシア・バリデュワ!おっと、これじゃ他人行儀だ、愛しのレイちゃんと呼ぼう。」


 御簾 みすで姿、表情は見えないが明かに、嫌そうな声で、『気色悪!熊とでも盛ってろ!』


 火巫女ひみこは口の悪い現代っ子のようだ。


 バリーガントは変態だったから下を膨らませながら、「おっ!良いね!レイちゃん、その鼻っ柱を俺のチンでヒィヒィ言わせてやるぜぇ!」


(∩▲皿▲*)↑


『ど変態め!だが、もうお前との話しは終わりだ、明日には真のコーリン・オーウェルの後継者が此の山に来る、私はその者に嫁ぐ!だから去れ変態!』


 バリーガントは驚いて、「な、な、何だと!!!」


(#▼益▼*)つ〃∩


 巫女長ミコマスタもビックリして、「姫様!急に!」


『私は決めた!変態!だからもう此処に来るな!』


 バリーガントは怒りながら、「認めん!俺は認めん!よし!俺とそいつでレイちゃんを賭けた勝負だ、どちらがどれれだけ熊をイカせるかだ!」


 御簾 みすの後ろからは呆れた声で、『変態!世の中に熊等相手にする奴等いない!』


 バリーガントは、えっ、て顔で横の記録官に、「そうなのか?」


 記録官は、「はい、閣下だけです。」


( ̄(エ) ̄ )


 バリーガントは正面を向いて、「仕方ねぇ、そいつとの勝負は明日、そいつと会って決める!そいつと勝負して俺が勝ったら、火巫女ひみこ!お前は俺の物だ、ケツ洗って待ってろよ、じゃ帰るぞお前ら!」、と言いたい事をかってに言ってさっさと帰るバリーガントであった。


 バリーガントが去った後、巫女長ミコマスタが困った声で、「姫様、折角、ベル殿が紹介して下さった、コーリンの力を受け継ぐ者に、あの様な変態をぶつけるとは、ちょっと失礼では御座いませんか。」


 暫くしてから、御簾 みすから不貞腐れた声が、


『だって婆や、どいつもこいつも、コーリン、コーリン、ってスケベ心丸出しで、もうやんなっちゃう!で、結局、私に触る事も出来ないクセに、もういい加減にしてって言いたいの!!分かる!婆や!!』


 巫女長ミコマスタは首を振りながら、「お気持ちは分かりますが、真のコーリン様だったら大変失礼な事、嫌われたらどうなさるおつもりですのじゃ、姫様!」


 暫くして、また御簾 みすの裏から明るい声で、


『真のコーリンだったら、あんな変態に負けないんじゃないの?ベルオバサンの紹介だからと言ったって怪しい者は怪しいし、本物かどうかそいつの真偽を確めるにはちょうど良かったって事よ、婆や、分かった!』


 此の現代っ子の姫巫女には何を言っても無駄な事を知ってる巫女長ミコマスタは諦めて、


「やれやれ、」とため息を付きながら、


 C=( ̄ヘ ̄;;)ハァー


「兎に角、明日来られるのは、ベル殿の大切な御客様、失礼の無いようにして下されなぁ、姫様。」、と声を掛けるのだが、


 一向に返事が帰って来ないので、


「・・・逃げなされたか。」


 とガックリする巫女長ミコマスタだった。


 ┏(ー_ー;)┓ガックリ




 そんな事が起きている事を知らないハルチカ達は、『星霊山せいれいざん』のふもとにある、ロートスグループの別荘に到着していた。


 湖を見渡せる高台にある別荘は、元々、バリデュワ家とビジネスの為に建設された家屋で、様式は殆ど他の家と同じである。


 二百坪の平屋には二十の客室に百帖のリビングと三十帖のLDがあり、あと三つのダイニングがある。


 また、室内と室外にプールが有り、ビジネス以外にも別荘としての設備も一応は備わってはいた。


 でっ、プールが有る分けだから一応、皆で室内プールで泳ごうと言う事になって、本来、クラスメートの水着姿にドキドキするのが普通だが、現在のハルチカは立たず!


 更にウェルド公国は軍事国家だからお洒落な水着はあまり少く、まして、バンチニアは田舎、アンリやドリス、ハルチカも普通にスクール水着、ロリコンじゃないハルチカは全然燃えなかった。


 アンリは、「ハルチカ!何よあんたその目は!」


(# ゜Д゜)


 ハルチカは普通に、「アンリって着痩せするタイプかなぁ、結構スタイルいんだね。」


(^◇^)


 アンリはガックリして、「何なんだ!此の脱力感は!立たずに言われてもちっとも嬉しく無い!」


 ┏(_ _;)┓ガックリ


「あっははははははは!」


 プールの中央から笑い声が聞こえてきて、三人が驚いてプールを見ると、


 年齢は自分達と同じくらい、紫が入った長い黒い髪に赤い瞳、ばっちりお目目に端整な顔立ち、抜群のプロポーション、そして火のように赤いワンピースの水着。


 アンリは、更にガッカリして、「立たずにスタイル誉められた後に、何故、抜群のむすめが出て来るんだよ!嫌味か!!」


 ┏(T_T;)┓ガックリ


 その時、お洒落に手間取っていたコーリがオレンジのビキニでプールサイドに出て来ると、


 プールの娘に気がついて、「えっ、レイちゃん!来てたんだ。」


 プールの中の娘が嬉しそうに手を振りながら、「コーリ、遊びに来ちゃった。」、と言うとクロールで一気にプールサイドに来ると、勢い良くプールから出て、ハルチカのチンが触れあいそうな距離に立ち、


「ふぅーん、あんたさぁ、あたしがこんなに近寄ってもチンが熱く成らないんだぁ。」、と意味不明の事を言う。


 ハルチカはせって、「えっ?えっ?えっ?チンが熱い?」


 彼女は笑いながら、「あはっ、普通の男はね、私に近寄るだけでチンが燃えちゃうのよ。」


("⌒∇⌒")


 また、物騒な事をサラリと言う可笑おかしな娘が現れたなぁと困惑するハルチカであった。


(* ̄ー ̄)


 あまりの大胆な行動に呆気に取られていた三人娘は、


 ドリスが我に返って、コーリに、「御嬢様、あの方は?」、と聞き、


 コーリもはっと気がついて、「此方はバリデュワ家のレイティシア・バリデュワ嬢、『星霊山せいれいざん』を守護する姫巫女ひめみこをしてらっしゃるの。」


 レイティシアはハルチカを人差し指でツンツンしながら、「あんたはあたしの事、レイって呼んで良いよ、でっ、あんたは何んて言うの?」


 ハルチカをツンツンされて、ちょっと興奮したのか、顔を赤らめながら、「ぼっ、僕はハルチカ、ハルチカ・コーデル、バンチニア高校の魔導科一年生、今度、二年になる。」


 レイは腰に手を当てて、「あんた、明日、あたしを賭けて熊好きの変態と勝負をするのよ!いい!分かった!」


(〝⌒∇⌒〝)


 ハルチカはレイが言ってる事の意味が分からないので、「?熊好きの変態?勝負?何の事?」


(;゜∇゜)


 レイは笑いながら、「さぁ、何の事かしら、それに何が起きるかは、あたしにも分からないし、ただ、絶対、ハルチカ、あんたは、明日、うち、『星炎大社せいえんたいしゃ』に来るのよ!分かった!返事は!!」


( ̄ヘ ̄メ)


 ハルチカはレイの口調に圧倒されて、「はっ、はい!」


(;゜0゜)


 レイはその返事を聞いて満足したのか、「じゃ、直ぐにうちに行こう、ハルチカ!」


 四人は、「ええええええええ!!!」


 あまりのせっかちなレイに四人はビックリ!


 次の日、


「まで待てるわけねえだろうがぁああああ!!!」、と摩導上昇下降機で再び『星炎大社せいえんたいしゃ』に向かうバリーガント!


(#▼益▼*)つ〃∩ がぁああああ!


 隣の記録官は呆れながら、「帰ったと見せ掛けて、寝込みを襲う、閣下もゲスですねぇ。」


 バリーガントは嬉しそうに、「そりゃ良い誉め言葉だ、ちゃんと記録しておけよ!」


 バリーガントを中心に武装した黒い戦闘服を着た百人の集団が『星炎大社せいえんたいしゃ』を襲撃した!


 ドガァーンンン!!!


 彼等は大社の門を破壊し、中庭に突入する!


 ウウウウウウウウウ!!


 大社中に響き渡る警報とサイレン!!


 ダガガガガガガガガ!


 ドカン!ドカン!ドカン!


 魔導銃の銃撃音と爆破音!


 その時、


 ザッ!ザッ!ザッ!ザッ!


 (`ヘ´)(`ヘ´)(`ヘ´)(`ヘ´)


 バリーガントとその武装集団を迎え撃つ為に、大社殿より現れた拳の使い手が襲撃者達の前に立ちはだかる、その数五十!


星炎大社せいえんたいしゃ』には、炎星魔導拳えんせいまどうけんの使い手である五十人の猛者、『炎社磨人エンシャーマン』がいる!


 バリーガントの前に立つ、彼等こそが、『炎社磨人エンシャーマン』!


 彼等は、鍛えみがかれた炎法えんほうの力により、幾多の年月、大社で起こる有りとあらゆる揉め事をその拳の力によって防いで来た!


 今、その彼等の力により、バリーガント率いる襲撃班は片っ端から、ほのおの拳に吹き飛ばされ!


 グワッ!ゲェロッパァ!ヒデブゥ!


 ( `◇´)ゞ<炎炎炎


 武装集団はチリとなり、残る人数は十!


 バリーガントの野望はついえるかに見えたが、


 バリーガントは首をコキコキ回しながら、「いか、此れからがいところだ、ちゃんと記録しろよ!悪の魔導拳の使い手達を、俺様が成敗して、囚われの巫女ちゃんを救出する、白熊の王子、バリーガント様の活躍を!!」


 コキ《(#▼益▼*)》コキ


炎社磨人エンシャーマン』達は呆れる!


 彼等は強くなる為に一番若い者でも二十年、年長者は五十年の歳月、只強く成る為だけに修行してきた磨人まじん


 こんな熊好きの変態に負ける分けがない!誰しもがそう思った!その時!


 (。_゚☆\((#▼益▼*)ベチ!!!


 大社で一番強い、ブルフェス・リィーガントが一瞬で潰れ!


「ばっ、ばかな!!」


炎社磨人エンシャーマン』、全員が驚愕し、


 更に、


(>。☆)☆((\((#▼益▼*)ボコチン!


 大社で二番目に強い、ジャリコス・チェーンソーが木っ端微塵に吹き飛ばされ!


炎社磨人エンシャーマン』、全員に戦慄が走った時、


 虐殺が始まった!!




炎社磨人エンシャーマン』の返り血を全身に浴びて、血だらけのバリーガントが社寺の奥の殿に入り、


 バリーガントがスケベ笑いを上げながら、「待たせたな!火巫女ひみこさんよ!白熊の王子様が来てやったぜ!」


 そう言うと、片手で御簾 みすを引きちぎり、


「きゃぁぁぁ!!!」


 奥の殿中に響き渡る悲鳴!


 バリーガントは感動する、「おっ!火巫女ひみこ!暫く見ないうちに随分けたなぁ!」


 記録官は呆れて、「そんな分けないですよ、閣下、その方は老巫女長ミコマスタ様ですよ。」


 バリーガントは、えっ、て顔で、「婆?婆が火巫女ひみこだったのか?」


 知能指数が熊並みのバリーガントに、駄目だこいつって顔をした記録官は、「違いますよ、本物の火巫女ひみこはもうすぐ此方に来ます、おぃ、お前達、火巫女ひみこが魔導昇降機で此方に向かってるから、到着したら此処に連れて来い!」、と残った十人の襲撃班に命令する。


「ウィ!!」


 黒い戦闘服に身を包んだ襲撃班残党は胸に手を当てて奇声を上げ、社内から昇降機のある大社の広場に向かった。


 バリーガントが吼える、「うぉおおおおおおお!俺はもう我慢出来ねぇ!!婆でも俺はる!!!」


「ひえぇぇぇぇ!!!」


 老巫女長ミコマスタの悲鳴!


『待て!!!』


 襲い掛かろうとしたバリーガントの体がピタリと止まり、


「えっ!?」、老巫女長ミコマスタが驚愕する!


 記録官が笑いながら、右手を前に出し、『困りますねぇ、閣下がっちゃったら、老巫女長ミコマスタ様は死んじゃいますよ、大事な人質ですし、閣下の相手は火巫女ひみこ、もう少し我慢して下さい。』


 老巫女長ミコマスタも此の異常な関係に此の記録官が只の官僚で無い事に気付き、


「おっ、御主!只の官僚では無いなあ!一体何者じゃ!!」、と記録官に怒鳴る!


(*`Д´)ノ!!!


 記録官は、はてな顔で、「?私はルーティア共和国総務省の一等記録官ですが何か?」、ととぼける。


 その時、「離せ!」、「きゃ!」、「いたっ!」等の騒ぎ声が聞こえ、


 黒い戦闘服の襲撃班に拘束されて連れて来られた、レイティシアとコーリ、アンリ、ドリスとオマケで魔導銃で殴られながら引っ立てられているハルチカが現れた。


 五人を見た記録官は嬉しそうに、「これは、これは、レイティシア様以外にロンディーヌ家のコーネリア嬢迄、となると、その小坊主が噂のコーリンの血を受け継ぐ者ですか?」


 コーリは驚いた、此の惨劇の現場で自分の事を知っている者が要る事に、


 黒い戦闘服の男達に拘束されているレイが、「離せ!離せ!!だいたい何でお前達は燃えない!!」


 記録官は当然って顔で、「それは、火巫女ひみこ様に失礼の無いようにその男達は去勢していますから。」


「えっ!去勢って!」、と思わず自分のチンを手で押さえながら大声で驚くハルチカであった。


 記録官は、「でも御安心下さい、火巫女ひみこ様、貴女の御相手の閣下はそのまんまです、では閣下出番ですよ!」


 その時、奥の殿より、


 素っ裸のバリーガントが巨大な剛毛で被われたケンを直立に構えながら、


「うぉおおおおおおおお!遂に!遂に!此の時が来たあぁあああああああ!」、と叫びながらレイに襲い掛かる!


((#▼益▼*))(((♂)))


「きゃぁぁぁ!!!」


 レイが悲鳴を上げ、


 バリーガントがレイに近付いた瞬間!


 炎炎炎Ш♂Ш炎炎炎


 バリーガントのケンは火だるまとなり、


 ズボッシュ!!!


 その剣は根元から焼け落ちてしまった!!!


「ギャアアアアアアア!!!」


 大社内にバリーガントの絶叫が木霊し、苦痛で転げ回るバリーガント!!!


 その光景を冷静に見ながら記録を取る記録官、「えぇと、閣下のチンがもげたと、閣下でも無理、流石ですねぇ、『封印乙女キャステリィガールエン】』、そしてその封印をけた死してなを、愛する女性を守ろうとする!コーリン・オーウェル!!」


 ハルチカは愕然がくぜんとする、三人目の『封印乙女キャステリィガール』、それも、襲い掛かった相手のチンを焼き付くす、今まで以上に苛烈な封印、そしてその封印をほどこしたのが、我がチンであるコーリン・オーウェル自身であった事を知った時、


 ハルチカはその事実に驚愕きょうがくした!


 記録官は記録しているペンを止め、「忌々しきコーリン、我等の野望をごとごとく邪魔をする、我等にとって不倶戴天ふぐたいてんの敵!!」


 記録官は自身の演技に酔いながら、両手を広げ、天を、太陽を睨みながら、「しかし、今回は貴方の負けだ!コーリン・オーウェル!!」


 そして、ハルチカを睨みながら、「我等は『鍵』を手に入れた!!!」


 睨まれた、ハルチカは、鍵?


 鍵って、


 コーリを見ると首を縦に振り、


 えっ!


 レイを見ると、


 凄い勢いで頷いているし、


 まさか!


 ドリスは顔を赤らめながら、「鍵って、やっぱり、チンって事なのよねぇ。」と意味不明な事を言い。


 アンリは、「いい加減にしろ、バカチン!あんたの事だろうがぁ!!」とハルチカを怒鳴った!!


 ええええぇえっ!僕!


 記録官がハルチカに近寄り、「さぁ!君!そのチン火巫女ひみこの封印を開けてくれないか!」、さっさとやれと指示する!


 ハルチカ、絶体絶命のピンチ!


 ハルチカは心の中で叫んでいた!


 今の僕は、今の僕は出来ないたたない!!


 出来ないんだぁたたないんだぁ


 どうする!ハルチカ!


 どうなる!ハルチカ!


 今やハルチカの運命は!


 風前の灯であった!




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る