花の形で、指輪の代わりで、今は時を刻む歯車に。

密やかな静かな世界に、彼女の言葉だけが響いている。
彼女のために少しだけ用意された空間に。

分解してばらばらになった、二度と元に戻さない部品たち。
モノの本質だったはずが、バラバラになってかつての姿を見失う。

時計のねじの名は、ずっとリューズという外来語だと思っていた。
こんなにも巻くのがせつないものだなんて。

ずっとお互い特別な存在だった二人。

彼が閉じこもっていた部屋を想うと、涙が出そうになる。
これから、どうするの。
今までと同じように、今までと変わらずに。
でも、たった一つの重要なピースを失くしてしまったあなたを想う。