第20話 家庭教師
ローラとの情事は俺の体をとろけさせ、ソフィアとの情事は俺の本能をくすぐった。毎日が絶好調の俺だったが、学業は絶不調に陥っていた。
親父も通った名門私立大学、俗に言うアイビーリーグと呼ばれる大学には、色々な枠があるから俺の入学は、ほぼ決定していたが、さすがにこれじゃまずいだろうと見かねた親父が家庭教師を頼んだんだ。
何だと? なぜ俺の入学がほぼ決まってるか、お前らには理解できないのか。
いいか、教えてやるぜ。
私立の名門・アイビーリーグには色々な入学枠があるんだ。
学力枠……一般人はこれで入るのが普通だが、かなり狭き門だ
人種枠……マイノリティーで優秀な奴はこの枠を狙って奨学金で入学だ
タレント枠……スポーツや演劇などの特殊な才能を持つ奴らの枠だ
特別枠……親や家族が卒業生。金持ちで寄付の多い名門家の子息達
金持ちの名門家に生まれた俺たちは、生まれながらにして特別扱いなのさ。
不公平だと?
世の中の仕組みなんて、そんなもんだぜ。知らなかった方が良かったよな。お前ら一般人は。
◇ ◆ ◇
親父の頼んだ家庭教師が挨拶に来た。色気のない眼鏡をした堅物の女だったぜ。俺が通う予定のアイビーリーグに通っている留学生で、日本から来た康代という名の女だった。おそらく、親父が大学に斡旋を頼んだんだろう。
こんな色気も何もない女が俺に勉強を教えるのかよ。親父に文句を言いたくなるぜ。来週から毎日、次のSAT (大学進学適性試験)の日までこの可愛げのない家庭教師にしごかれると思うだけでゾッとする。まったく、ついてないぜ! まっ、男よりましだと自分に言い聞かせて我慢するしかないだろう。
俺のクイーン・ローラともプリンセス・ソフィアともしばらくの間、情事はお預けになりそうだ。
おれは、次のSAT (大学進学適性試験)で良い成績をとって早く自由になると決めたぜ。
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