伝説妖刀伝

祥吾

第1話

「妖刀…それは妖気を帯びた刀…。

それを使った者は死ぬと言われ、触れる者もいなかった。

この世界には数百本の妖刀があり、そのうちの百本がこの地にあるらしい。かつては妖刀の溜まり場と言われていた。

妖刀は今までこの地の者、一万以上の人を呪い、殺してきた。突然死、圧死、水没死…いろいろあった。

妖刀には化身が取り付いていて、それぞれ違う特徴を持っている。人は良い刀と悪い刀を見分けれず、全ての妖刀を封印した。

妖刀は今はどこで何をしているのだろうか。」

ある本の最後だ。

俺は寝転がりながら、

「んな事信じれねーよ。死体も見つかってないしただの伝説だろ。」と吐き捨てるように言った。

隣で聞いていた友達、阿形光(あがたひかる)は、

「そんなこと言ったら呪われて殺されちゃうよー」と笑いながら言った。

もう一度考えた。

そこら辺の婆さん達は、「呪われてるから死体は無いんだよ」とか言ってるけど信じ難いし、正直、刀ごときにそんな力ないだろって思ってる。

「やっぱり信じられねーよ。」

今でも学校でよく妖刀には気をつけろよって言われるけど高校生になってはもう信じられない。逆に信じてる人の方が少ない。

それは本物を見たことが無いってのが大きな理由だ。

俺ももちろん信じてないし、阿形もそうだ。

毎日同じ太陽が昇り、沈んでいく。なんの変哲も無さ過ぎた。

こんなに妖刀に気をつけろって言われているのに。

そして今日も太陽が沈もうとしている。

「そろそろ帰るかな」と言って、阿形は自転車に足をかけた。

俺は、「そうだな。」と言い、立ち上がる。

空を見上げる。夕焼け色で綺麗だ。

地面を見下げる。雑草が生え散らかっている。

正面を見る。そこには阿形がいる。

瞼を閉じた。そして開けた。

そこはさっきと違う世界だった。

空は暗く、雑草は枯れている。

背筋が凍った。手が震えてる。衝撃どころの問題じゃない。

「あ、あ、あ、阿形!!」

返事が無い。やばいと思い、阿形の肩を引こうとするが動かない。

思わず、「えっ?」と言ってしまった。

顔の正面に立つと動いていない。

脈も止まっている。

いや、こんな死に方はこの世には無い。そう心に訴え周りを見回す。

さっきと状況は変わっていない。

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

しゃがみ、頭を抱え、目を閉じ、叫んだ。

次の瞬間、

「お、おい!どうしたんだよ?」と阿形の声が聞こえた。

上を見ると阿形が目を大きくして自転車から降りて立っていた。

髪を掻きむしりながら考える…がわからない。

わからない、わからない、わからない、わからない……。

何が起こった全くかわからない…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

伝説妖刀伝 祥吾 @N-shogo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ