第12話 オレンジ 再考版

窓際にオレンジを置いて

窓を開け放つとあなたの香りが

風を呼び夕陽がやってきます


夕陽に溶けそうなオレンジを

わたしは逃がさないよう抱きしめ


オレンジの皮に

ナイフを入れていくと

涙がひと粒、ひと粒

夕陽に帰っていきました


やがてオレンジがわたしの

腹に収まるころ夕の帳が降りてきて


梟がほぅほぅ、とナキました

わたしもほぅほぅ、ナキました


夜空には星が

オレンジ色のうしかい座

アークトゥルスと言うのでしたね

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