第13話 賑やかなランチになりました

 十一時半のランチの時間になると、待ってましたとばかりに男の人が三人、店に入ってきました。


二人はお馴染みの妹尾工務店の達也さんたちです。


オープンのお祝いに花かごを持って来てくれました。

三人姉妹を表しているようなピンク、オレンジ、黄色の可愛らしい花々が大きなかごに生けられています。


「開店おめでとうございます!」


「ありがとう達也さん、ここに飾らせてもらうわね。」


弥生さんは花かごを仏壇の前に持っていきました。

仏壇はベージュのロールスクリーンで目隠ししてあります。彩あざやかな花が店の中に加わると、一気に華やいだ雰囲気になりました。


達也さん達は、ガッツリと八百円の牛丼を頼んでくれました。

これは漬物とお豆腐の小鉢が付いています。



一人で来店された男の人は、千五百円の『畑のめぐみセット』を頼んでくれました。


「これには、空豆が付いていますよね。」


「ええ。採ったばかりですから、美味しいですよ。」


「妹さんが畑の前でメニューを考えられていたので、楽しみにしていたんです。」


「ああ、もしかしてアパートの村岡さんですか?」


そういえば、葉月さんがおばあちゃんのアパートに住んでいる男の人と話をしたと言っていました。


「そうです。ランチが食べられるのを楽しみにしてたんですよ。」


まあまあ。

こんなにカッコいい人だったのね~。

葉月ったら何も言わないんだから…。


達也さん達の所には、睦月に料理を運ばせることにしようかしら。あの二人はインテリアのことで気が合ってるみたいだったし。



おや? 弥生さんは何か違う商売を始めるつもりなんでしょうか?

自分のことは棚に上げて、なんだか画策しているようですよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る