第8話 雑文 心に響く名台詞なんだよ

今日は好きな名台詞を。


『厳しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるには値しない』


これはレイモンド・チャンドラーの小説、プレイバックに出てくる私立探偵フィリップ・マーロウの台詞だ。村上春樹の訳である。


『タフじゃなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格はない』


こちらは生島治郎の訳で、これが多分一番有名なんじゃないだろうか。フィリップ・マーロウのシリーズは何人かの訳者が翻訳をしている。どれも味がある。ちなみにどうもこの台詞、作中で女性から、どうしてあなたみたいに強い人が、そんなに優しくなれるの?と問われて答えるからか、ハードボイルドが男性のイメージからなのか男の価値観的な紹介をされることがあるが、そうではなくて人間の生き方に対するマーロウの台詞なんだと受け止めている。とにかくフィリップ・マーロウのシリーズは名台詞が並び立っていて、村上春樹訳が出てからはこれらを読み比べようか、と本を揃えていたりする。


村上春樹訳は受け付けない、という古くからのファンもいるようだけど。


僕は現訳で読むほどには語学に通じていないから、評論は出来ないが村上訳のフィリップ・マーロウも好きだ。最近の村上春樹の小説は読まないけれど。


『厳しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるには値しない』


詩を書き始めてまだ一年に及ばない。小説に比べて詩を書き始めてから、僕はこの言葉を何度も思い返している。小説の過去作を読む、とあまりの酷さに頭が痛くなるけれど、見せしめのため消していない。ちまちま、修正や訂正してますが。


詩を、言葉を綴ることへの厳しさを持ちながら、作品のなかに優しさの眼差しを持ちたい。


甘さ、ではなく優しさを。

それはまだまだ見えてこないのだけれど。

戒めの言葉でもある。

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