ご近所キラーなアザとい犬。1

俺はカンチ。

フレンチブルドックだ。

フレンチブルドックというのは最近人気が出て来たが、用宗に来た時はそんなに有名じゃなかった。

田舎のじいじ、ばあばは知らんと思う。

ブルドックやパグなどはたまに飼っている人がいるから馴染みはあったと思う。

フレンチブルドックは、

ブルドックの癖のある強烈な貫禄や、パグの何もかもが小さくて耳も折れた鼻の潰れた感じとは違う。

中型犬で。

鼻の潰れていて。

耳が大きめで猫のように立っている。

目はパグのようにクリクリで。

短足。

尻尾がケツの穴の蓋のようのちっこい。

それから賢くて、愛嬌を振りまく。


俺は最近この「珍しい愛嬌」と「珍しい美貌」で近所の老若男女問わず虜にしている!



まずは写真屋の村上のじいちゃん。

俺の写真を撮りたいと、毎週日曜日に仁科家に押しかけて来るようになった。

ユウタやトシコさんに了承を得ては俺を浜や公園へ連れ出す。

「こっちを向けー」

「カンチ走れー」

「そのまま振り向け」

「おすわり。」

「おて。」

要求がおおい。俺はだんだん疲れてくる。

だがしかし!

俺は賢く愛嬌がいい!

何をすればおやつをもらえるかだいたいわかる!!

だから俺はわざと伏せてケツをあげておねだりポーズをする。

パシャ。パシャっとシャッターが切られる。

調子に乗った村上のじいじに腹が立つときは、

たまにゆうこときかないふりをする。

村上のじいじが困った顔をする。

「これやるから。カンチほら。もう一回!」

、、、おやつ!

ちょっと拗ねた顔を見せて、村上のじいじのため息が出ない絶妙のタイミングでいい子にする。

俺はおやつを効率よくもらう手段を身につけた!!

村上のじいじは写真屋さんだから、

お店の外に俺の可愛い写真が飾られるようになった。

俺はそれらをユウタに見せつけたい。

散歩のとき村上のじいじの店の方へユウタを誘導して、わざと近くの電信柱でシッコする。

「カンチこれ詐欺だろ。」

ユウタめ!

こいつは全く褒めることを身につけない。

「フン!」

鼻息荒く俺はユウタの靴に鼻水を吹きかけてやる。

ユウタお前は何もわかっちゃいない!

俺はな、犬なりに!!

村上のじいじのハートをがっちりと掴んでいる!!!


ちょろいぜ☆

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