『どう書くか』に効く書籍 ~ 何を書くかどう書くか

 ビジネス文書の基本に倣って、最初に結論。

 『どう書くか』に効く書籍、なし……あ、終わっちゃう(焦)


 どう書くかについて指南した本は、それこそ山のようにある。文章作法に始まり、プロットの立て方、物語の展開方法、キャラクターの立て方などなど、あらゆる指南書が溢れている。

 書く題材さえ決まれば、規定のかたにはまらず自由に書いたほうが良いと思っている。でも、型を学ぶことは無駄ではないと考えているし、自らの中に基本となる型を持つことは必須だとまで考えている。


 『守破離』という言葉がある。

 ウィキペディア先生によると、『日本での茶道、武道、芸術等における師弟関係のあり方の一つ』なのだそうだ。その道の習得段階を表しているという捉え方もある。

 『守』は、先人達が築いてきた型を学び、忠実に守る段階。『破』は、型を破り自分の道を発展させる段階。そして『離』は、型から離れ独自の表現を確立させる段階。

 注意したいのは、型があっての『守』であり、『破』であり、『離』であるという事。たとえば『破』はあくまでも、自らのものとした型を破るから『型破り』であり、『破格』と評される。習得した型なくしては、単なる『型無し』という事になってしまう。


 では、型はどうやって学ぶのか。それこそ、指南書から学べばよいのではないか。間違いではないのだろうが、ワタシの答えとしては『否』である。

 世の中には、先人達が残してきた作品という数多の型が在る。ここから型を学ぶ方が、大いに効果があるのではないかと考える。好きな作家が居るのであれば、徹底的に真似をして、自らの型とすれば良いと思う。その上で、型を破って自分の作風を築く事ができれば、目覚ましく上達するのではないだろうか。


 とっかかりの部分くらいは、指南書に頼るのも悪くないと思う。ワタシも文書作法の部分は、指南書で身につけたはずだ。よく憶えていないけど。

 自らの戒めのために書いておくけど、指南書を読んで書ける気になってしまうのはよろしくない。自己啓発本を読みまくって、自分はいつでも成功者になることができると勘違いする意識高い系のビジネスマンと同じくらいよろしくない。

 だから指南書を読むくらいなら、好きな作家の小説を読んだ方がマシだ。だからどう書くかに効く書籍は無いという答になる。(強いて言うのなら、好きな作家の小説という事になるのだろうか)

 ただ、作品を読んで型の補強をするだけでは巧くならない。書く事でしか、型は破れないし、自分の作風も育たないのだ。


 腹立たしい事に、世の中には天才という人種が居て、型など学ばずとも真似のできない作品を産み出したりする。型が無い訳ではなく、元から自分の型を持っている、または学ばずとも型を生み出してしまう。

 滑稽なことに、世の中には自分のことを天才と勘違いしている人種が居て、破格の作品を生み出しているつもりで、すべてが型無しとなっている。

 悲しいことに、ワタシはどちらかというと後者に近いようで……基本に立ち、型を学ぶ素直さが欲しいと願う今日この頃だ。願ってないで、やれば良いだけの話ではあるのだけれど……。

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