<6> Reinhilde

 ラインヒルデは母親似だった。口数少ないところなんて、特に。ロベルティーネとは違ったのは、本を読むのを苦にしなかったこと。

「お人形様、長生きなのねえ。何十年も前のお姫様が、お作りになったって聞いたわ」

 あたしの他は、もうあちこち散らばっていったロデリンダの遺品。その行方を気にする彼女が眠るたび、あたしは彼女に夢を下した。

 ロデリンダの愛した書物。記した日記。血筋の系譜。

 埃をかぶった手がかりを、彼女はちゃんと書庫で見つけただけじゃなく、文字でまとめてくれたから、あたしはひどく喜んだ。

 この母娘が、ロデリンダの憎んだ病をあたしが砕く礎になった。

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