Ever Doll・End Rool

大祝 音羽

誕生日プレゼント

「ハッピーバースデー!未来、5歳の誕生日おめでとう!」

そう言って、ママがプレゼントをくれた。

「わぁ…!お人形さんだ!!」

そのお人形さん、とってもかわいいドレスを着ていたんだけど、顔はなぜか嬉しそうじゃなかったんだ。むしろ、怖かった。

「ママ、このお人形さん、なんだか怖がってる」

ママに言うと、お人形さんを見つめてから優しく言った。

「あなたにはそう見えているのね…。

そういうお人形さん、嫌い?」

「ううん。でもかわいそう。だって、幼稚園行ったり、遊んだり、楽しいことっていーっぱいあるんだよ?なのに、悲しいお顔じゃあかわいそう。

だからね、あたし、大きくなったらお人形さんを元気にするの!悲しい顔したお人形さんが1人もいなくて、かわいいお人形さんがいっぱいで笑顔になれる世界になればいいなぁ…」

「そうね。そうなったらママも嬉しい。未来が作ったお人形さん、ママも欲しいな!

それじゃあ、大きくなるまで、お人形さんにいっぱい話しかけてあげて、一緒に寝て、一緒に遊んで、仲良くしてみたらどうかな?そうしたら、お人形さんも、きっと喜ぶと思うなー?未来、できる?」

「うん!」

「さすが、未来は偉いよー!そうだ、名前つけてあげようか。どんな名前がいい?」

あたしは、すぐに思い浮かばなかったけど、自分の名前に使われている漢字っていう文字に、別のなにかがあったのを思い出した。

「ねぇママ。あたしの名前ってさ、もうひとつあったよね?どういう読み方だっけ?」

ママはすこし驚いたような顔をしたあと、わかった!と手を叩いた。

「読み方の事か!未来の言う通り、あるよ。1つは、未来の名前でもある"みく"って読み方。もう1つは、"みらい"っていう読み方。こっちの方がよく使われるから、未来の名前もよく間違えられちゃうんだよね…」

「じゃあ、このお人形さん、みらいっていう名前にする!」

ママに言うと、うんうんって頷いてくれた。

「みらい、一緒に遊ぼう!」

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