第12話 湯治

「早く! 早くするんだ小太郎」

 そういって氏康ちゃんは、俺の前を嬉しそうに馬で駆けていく。

 俺達は湯治と言うことで負傷兵を連れて温泉地の箱根に来た。

 最初は俺と氏康ちゃんの二人で行こうという話になっていたのだが早雲さんに話をするとダメだと言われ、清水しみず吉政よしまさと数名の親衛隊、それと負傷兵たちのべ350人で箱根に向かっている。


「殿、もう少し自重してください。殿はこれからの北条を担う将軍なのですよ」

 氏康ちゃんは笑って

「そんなもの捨て置け! 今回、本当は小太郎と子作りを…。そんなこと妾の口から言えん! とっ、とりあえず吉政はオマケなのだからな行きと帰りは仕方ないが箱根でゆっくりしているときは二人きりにしろよ! 絶対だからな! 」


 氏康ちゃんが吉政さんに何かを言っている。

「小太郎、早く家族風呂に入るぞ! 」

 そういって俺に手を振っている。

「家族風呂は違うと思うのですが? 」

 疑問に思いながらも俺は彼女を追って行くのであった。

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