第10話 奇襲

「こんにちは、近くの農村に住んでる百姓の賀平太かへいたと申します。我が村を圧政をしいる北条から救ってくれようと頑張っている皆さんにお酒をと思い、持ってきました」

 そういって酒樽を上杉朝興の前に差し出す。

「そうか、気が利くではないか! だが、毒が入っていていないとは限らない。主がまず一口飲んでみよ」


 そういって朝興ともおきは俺のことを見つめてくる。

「分かりました、ただ自分は下戸げこなので、直ぐに寝てしまうかもしれません」

 そういって酒樽の蓋を開けて枡を樽に入れて酒を一杯飲む。

 あっ、やっぱり睡眠薬を入れたから眠くなってきた…。


 そして俺は眠りについた。


◆◇◆◇

「起きてください。小太郎殿!」

 目を覚ますとそこには眠りについた上杉軍と俺を見つめる部下の忍が居た。

「あぁ、やっぱり強すぎた…。まだ少し眠い…。だけど主に知らせなきゃだな…」


 そういって俺は狼煙をあげて作戦が上手くいったことを知らせる。

「それじゃあ俺達は本陣に戻ろう」

 俺は目を擦り立ち上がり本陣に戻ることにした。


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