第8話 初陣

「小太郎! 上杉が攻めてきた! 戦の準備をしろ! 」

 氏康ちゃんがそういって俺に飛び乗ってくる。

「主がそこに居ると起き上がれない…。とりあえず降りてくれませんか? 」

 そういうと氏康ちゃんは、頬を膨らまして俺のことを見つめてくる。


「それで、私たちの軍は何人位で、敵の上杉はどのくらいの軍勢なんですか? 」

 氏康ちゃんに尋ねると氏康ちゃんは指を折りながら…。

「う~ん、妾たちが3千人で上杉が5千人位だと報告がきている」


 なるほど、こっちが少ないのか…。

「奇襲を仕掛けましょう! 」

「流石だ小太郎! 妾もそうしようと思っていたぞ! 」

 俺と氏康ちゃんは、起き上がって地図を拡げて、どの様に奇襲を仕掛けるか相談を始めようとすると


「殿、相談は馬上でしてください! 小太郎も早く向かいますぞ」

 そういって傅役の清水吉政が俺と氏康ちゃんの背中を押してくる。

「吉政さん、着替える! 着替えるから待ってて!」

 そういうと吉政さんは頷いて氏康ちゃんに俺の帷子を持たせる。


「殿、夫の着替えを手伝うのは妻の役目ですぞ! 私は嬉しいですぞ! 」

「ほっ、ほら小太郎…。妾が特別に手伝ってやる…」

 顔を真っ赤にさせて、もじもじしながら言うなんて反則だろ…。可愛すぎる。

「ありがとう、それじゃあ脱ぐね? 」

 そういって寝間着を脱ごうとすると


「やっぱりまだダメじゃぁ~! 」

 恥ずかしいのか顔を真っ赤にして部屋から出ていってしまった。


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