第6話 梅干し

「梅の木を植えるぞ! 」

 居城で寝ていると、彼女は俺の上に股がり声をかけてくる。

「主、いきなりどうしたんですか? 」

 氏康ちゃん、見えてます…。着物だから下着も…。その、大事な部分がもろに…。


「どうしたんだ? 顔が赤いぞ? 」

 そりゃあ年齢=彼女いない歴の童貞ですから…。

「その、あの、ほとが…」

 確か女性器の言い方、これで良かったよね?


 俺の言葉を聞いた氏康ちゃんは、服を着直し俺のことを涙目でジッと見つめてくる。

「早く教えろ馬鹿者! その、えっと、まだ準備が出来てないんだからな! それより梅の木を植えるから早く起きて庭に来るんだ!」

 恥ずかしそうに顔を真っ赤にして氏康ちゃんは部屋から出ていってしまった。


「それじゃあ、着替えるか」

 そういって俺は服を着替えて顔を洗い、庭に出るとそこには早雲さんが居た。

「大殿、おはようございます。まさか大殿が来ていたなんて…。申し訳ありません! 」

 そういって土下座をすると早雲さんは笑いながら

「いや、全然気にしてないから大丈夫だ! それより愚娘が顔を真っ赤にして部屋から飛び出してきたけど、ついにヤったのか? 婿になるのか? いやぁ~っ、これで世継ぎが出来れば我が城も安寧だな! 」


 気が早い、早いですよ!

「父上、どうして急に梅の木を庭に植えると言ったのですか? 」

 氏康ちゃんは、俺のことをチラチラと様子を伺いながら早雲さんに尋ねている。

「梅干しを作らせるためだ、何故か梅干しをおにぎりの具材にすると長持ちするからな、戦の時に重宝する」

 そういって早雲さんと俺はスコップで穴を掘り梅の木を庭に植えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る