6.豊田大橋

ずいぶん遠くから川の向こうに見えていた、大股を開いたようにどっかと建つ豊田スタジアムが、いよいよ再接近してきていた。3年前にも走行した道を、また4月から辿っている。だから、はじめての街ではなかったが、曲がる辻をまちがえて、スタジアムの方へとハンドルを切っていた。膨らむような登り勾配はそのまま豊田大橋へと接続された。空へと高く延び上がって、また降りてくる橋梁の雄大な光景に、「ようこそ」の文字はなくとも迎えられている心地がした。その心地は感動という別名によって胸の辺りに、はなやかな色彩をたちまちに描いていく。川を越えるというしぐさから、彼岸へ滑り込むといった姿勢に、勾配が移行する一瞬手前、豊田スタジアムが唐突に至近に現れ、色彩はさらに眩しくなる。巧みな演出にくらくらする余韻のなか、帰路を辿った。

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