第18話 お約束
ユニスさんの店は街の外れに建っていたので森までそう時間はかからなかった。
「さて、嬢ちゃん。森へ入る前に3つほど、約束事をしよう。」
「??」
「森は魔獣がいっぱいで危険な場所だ。
それに、冒険者達の“暗黙のルール”みたいなものもある。」
あとすこしで森へ入るって所でヨシュアさんに言われた。
なるほど、そんなものがあるのか。
まあ確かになかったら獲物の取り合いとかで喧嘩になりそうだしね。
「なるほど。その約束とは?」
「まずは初心者は奥へいかないこと。
これは奥に行くにつれて魔獣が大型で強いものになるからだ。」
おお、理由も教えてくれるのか。親切だ。
時々居るからな、ダメって言うだけでなんでダメか言わない人。
理由がないと約束を破る人って結構いるし。
「2つ目は基本助太刀はしない事!
一部例外はあるが、獲物の取り合いを防ぐために他人が狩っている獲物や傷を負って逃げている魔獣への手出しは無用だ。
例外というのは冒険者が大怪我で動けなさそうな時とかだな。」
ふむふむ、これは予想通りだな。やっぱりあったかって感じだ。
「3つ目、これは今回だけだな。
俺の目の届く場所にいる事。目の届く場所に居てくれねぇと、何かあった時に守れねえからな!約束だ!」
「はい!!」
ここの森って、実際どれくらい危険なんだろう?なにか基準みたいなものないのかな。
『基準は特にないですよー!』
お、エア…久しぶり?ではないか。
数時間ぶり?ずっと話してたから、すごい久しぶりな気がする。
『放ったらかしでさみしかったですよ〜泣』
ごめんごめん、これから気をつけるよ。
それで、基準は無いんだよね?
『はいですー!でもだいたいこの位の能力値なら大丈夫って言うのは分かるですよ?』
あるんじゃん基準!!私が知りたいのはそれだよ!
『あ、そうですです?
じゃあ〜攻撃は物理です?魔法です?』
両方教えてくれると嬉しいな。
『はいですー!えっと、両方とも攻撃力のランクが“E”くらいで武器をちゃんと装備していればワンパンです!』
今ってまだ物攻も魔攻もEになってないよねってことはまだワンパンは無理か…。
てか敵の強さわかんないし、この世界の基準もわかんないからステ振り面倒だな…。
『エアちゃんがやっとくです〜?』
え、できるの?
『最終的にどんなスタイルで行くか教えてくれれば頑張るですよ?ついでにスキルも!』
いや、スキルは自分でやりたいからいいや。
ステ振りだけお願いしてもいい?
『お任せあれー!
最終的には完全な魔法特化でいいです?
それとも、ある程度の物理もいるです?』
うーん、近接戦しかできない時魔法だけってのも心許ない気がするからなぁ。
物理も人並みにはあげといて欲しいな。
『了解ですですー!
では、ステータス表示も少し変えるです!』
はいはーい、また後で確認してみるね!
『はいです!レベル上げ頑張るです!』
「嬢ちゃんどうした?なんかあったか?」
エアと話していたら急に黙った私をヨシュアさんが心配していた。
「いえ、大丈夫です!少し考え事を…、」
「そうか。森の中は危険だから、余りぼーっとしないようにな?食われちまうぞ?」
「はい、気を付けます!」
ヨシュアさんが少しからかうように言う。
そうだよね、森に入るんだもん!
ぼーっとしてたら危険だもんね!何かエアと話しながら作業出来たらいいんだけど…。
「じゃあ、準備はいいな?入るぞ?」
「はい!」
「すぐに魔獣が出たりするからな?気を付けるんだぞ?」
「はい!準備万端です!」
この森には入口に結界が張ってあって、魔獣が街へ来ないようにしてあると本で読んだ。
確かに入口に薄い膜のようなものが見える。
この奥には魔獣…という名の経験値の素が、いっぱいなのか。ガッポガッポやでぇー!
レベルいっぱいあげるぞー!稼ぐぞー!!
私とヨシュアさんは魔獣の森へ、結界を通り1歩踏み入れる。
結界を通ったこの時、これから大変な事になるなんて私も、きっとヨシュアさんも、思ってもいなかっただろう。
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