第15話 チートにはお約束!
ギルドから出て私達は歩き出す。
「うし!まずは嬢ちゃんの装備だな!」
「はい!でもどこで買うんですか?」
「俺の行きつけのトコ行くか?ってどこがいいとかまだわかんねぇか。
とりあえずこの辺見て回るとするか!」
「はい!」
私達は、まずは私の防具や武器を調達する為に装備屋を探し始めた。
「どれも一緒に見えるのでヨシュアさんのおすすめの所がいいです!」
しかし、何軒か見て回ったが、どこに置いてあるのもそう変わらないように見えたので最初の案に乗る事にした。
「おう!じゃあ行くか!」
ヨシュアさんについていく。
すると、1軒の看板の出ていない民家のようなところにつく。
「ここ、看板ありませんよ?」
「おう!隠れた名店ってやつだ!多分!」
た、たぶんって…。
「おっさーん!居るかー?!」
家の戸を開けて大声で叫ぶ。
すると、中からずんぐりむっくりなおじさんが出てきた。
「だーれがおっさんじゃ!お主もおっさんじゃろうに!」
「よう!今日は俺のじゃなくて、この子の装備を作って欲しくてな!」
私の背中をポンッと押して1歩前に出させるヨシュアさん。
それを見たおじさんは、
「お、おま!?それは犯罪だぞ!?どこの娘だそりゃ?誘拐はダメだろうがよ!」
「失礼だな?!護衛の仕事の依頼人だ!」
誘拐された子供と間違えられた。
まあ、ヨシュアさんごついし?厳ついし?
疑いたくなるのは分からんでもない。
ただちょっと可哀想かも。
「おはようございます。今回、ヨシュアさんに護衛の依頼をしたネフィリアです!」
「あ、嘘じゃなかったのか。安心じゃ。」
「ひでぇな?!」
ヨシュアさんはどこに行っても変わらない扱いなのかな?
変わらないものが、そこにある…的な?
「なんでまた護衛ついてんのに装備?そんなにこいつじゃ不安なのか?」
「いえ、そうではなくてですね…、」
かくかくしかじか…、
またもや事情説明。記憶をコピーとかないの?無いよね、うん、知ってる。
「ほほう、強くなるために森で特訓と。
それで装備か…なら武器もいるんじゃな?」
「はい!何か私に合うもの、ありますか?」
私自身、この世界にどんな武器があってどんな防具があるかわからない。
なら最初から全部おまかせしてしまおう!と言う考えです、はい。
「そうじゃな…、お嬢ちゃんは何が得意かとか分かるか?」
「わかんないです…。」
「そういやあ魔力とか測らなかったな。」
測る機械があるの?何それ凄い楽しそう。
「測ってみたいです!」
「ちと待っとれ。確か測定器があるはずじゃ」
おじさんは中で何やらゴソゴソと…いやもっと激しい、ガッチャンガッチャンいってる。
何かが落ちる音とかするんだけど…あ、今も何かが割れたっぽい…。大丈夫か?
「相変わらず汚ぇっぽいな…。」
ヨシュアさんの台詞からいつもの事だと予測される。ならいい…のか?
ガシャーンやらドンッやら…いろんな音が聞こえていたのが治まって少したった時。
おじさんが奥から石のはまった板のようなものを持って戻ってきた。
「あったぞ!これこれ!」
「お前、絶対奥の部屋すごいだろ?」
「ささ、この石に手をかざすんじゃよ」
ヨシュアさんを無視して進めるおじさん。
じゃあ私もスルーして進めようかな。
「こうですか?」
「うむ、そうじゃそうじゃ。」
手をかざすと、手のひらから魔力が抜かれる感じがした。
すると、石が様々な色に光り出した。
「なんとっ!」
「まじかーっ!嬢ちゃんすげぇな!!」
どういう事かと首をかしげていると、おじさんが説明してくれた。
この石のはまった器具は、魔力量の測定以外に手をかざした人の魔法の才も測ってくれる物らしい。便利!
そして才がある人はそれぞれ何の属性に向いているか、光の色で分かるらしい。
才がない人は光らずに魔力量だけが測られ、
才がある人はそれぞれ、火なら赤、水なら青、風なら緑、土なら黄色、聖なら白、闇なら黒に、石が光るらしい。
そして、大抵の人の得意な属性は1つで、たまに2属性、3属性の人が居るらしい。
そんな中、私の光った色の数は…。
「全属性光るとか初めて見たぜ?!」
「わしもじゃて。しかも聖と闇…普通なら反発し合うはずの属性が両方とな。」
…やっちゃった?
恐らくあれだよね、攻撃スキルの全属性魔法だよね。
『はいですー!恐らくそうですねー!』
エアちゃん、こういう知識はなかったの?
属性は普通1つとかさ…
『フィアちゃんチート好きですです!
だから言わなかったですー!』
いやいや、これチート以前に面倒なことになるじゃん?私そういうの嫌なんだけど…。
『じゃあチート辞めるです?』
それは無い。無理。辞めない。
…まあしょうがないかぁ。チートには多少の面倒事は付き物だよね…。
『伝説の到来ですですー!!!』
いや、それはまじやめて。ホント勘弁…。
面倒だから…。
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