第2話 雑談

「ハハハ朝からそんな事があったのか。それは災難だったな。」

保健室で、昼食中に今朝のことを親友に話す。

「そんなに笑う事ないだろ、人の不幸を。」

涙がでるまで笑う親友。

「ゴメン、ゴメン悪かったよ。でも今朝のアレは驚いたよ。突然転校生が英二に向かって変態の一言だもんな。クック。」

また思いだして笑いだすのを我慢する親友。

「笑うなって。俺にとっては笑い事じゃないんだから。クラスの女子のみる目がいたいし、男子にはおまえ何をしたのか聴かれるし、おまけに先生にまで呼び出されるしまつ。」

「それは今日は災難な日だな。」

コーヒーを入れたカップを俺に渡して、前の席に座る親友。

「なあ翔(かける)何とかならないか?」

「何とかしてやりたいのはやまやまだが、俺にどうしろと?」

現場を観てない翔に、無実を証明してくれってのもおかしいし。

う~んと悩む俺に翔は

「まあそのうち誰も気にしなくなるさ。クラスの奴等も英二の事をわかってるし。それによく言うだろ、火の無い所に煙りは立たないって。」

納得しない反応をして、もらったコーヒーを飲んでいると、誰かが保健室のドアをノックする。

「失礼します先輩、部活の件で相談があるんですけど?」

保健室のドアを開けて、一人の女の子が入ってきた。

「先輩今忙しかったですか?またでなおします。」

俺を見て保健室を出ようとする、女の子を翔は止める。

「かまわないよ、何の相談なんだ?」

「実はこの写真の取り方なんですけど。」

俺の親友如月 翔( きさらぎ かける)は、いろんな人が相談んをしにくる。

そのせいか先生に相談役を頼まれて、昼休みはいつも保健室で相談を受けるほどだ。

「先輩忙しいなか、ありがとうございました。」

「また、相談があったらきなよ。」

頭をさげて、女の子は保健室を出ていった。

「なあ翔、さっきの子って、部活の後輩?」

「そうだよ。あうのは初めてだっけ?俺達の一つ下で、犬飼 晃(いぬかい あきら)同じ写真部の後輩。」

そう説明しながら自分の分のコーヒーを入れる翔。

「なあ、翔さっきの子と付き合ってるのか?」

驚いた、翔は飲んでいたコーヒーをブッと吹いた。

「何いきなり変なこと言ってんだよ。」

「イヤー、なんか雰囲気が良かったからついな。」

「そんなんじゃない、ってか何ニヤニヤしてんだよ。」

翔の慌てぷりを観ながら、ニヤニヤ笑いながら英二は言う。

「さっき笑ったお返しだよ。」

「そんな事する奴の相談は、うけないぞ。」

ごめん、ごめん。顔の前に手をあわせて謝る英二。

そんなふうに冗談まじりにを話しているとドアを誰かが開けて入ってくる。

「あーやっぱりここにいた。教室にいないからここだと思った。」

「なんだ柧乃美か、どうしたんだ?」

ふざけあってる俺達の前に、ニコニコしながら柧乃美が近づいてくる。

「決まってるじゃん、チカ姉の試合を一緒に観に行くために探してたんだよ。」

「えー良いよ別に、どうせチカ姉の全勝だろうし。それにめんどくさい。」

だるそうに机に突っ伏す俺の前に柧乃美が来た。

「えー一緒に行こうよチカ姉の格好いい姿が視れるんだよ。観なきゃ一生後悔するよ。

人生損するよ。だからね、見に行こうよ、ね、ね。」

「わかった、わかった、行くからそれ以上顔近づけるな。」

一言ずつ顔の前に近づいてくる、柧乃美の顔を戻すように押し退けながしかたなく了承する。

「やった。さすがわ英二、絶対一緒に行ってくれると思ったよ~。」

「よく言うよ、あれだけ誘っておいて。」

笑って誤魔化す柧乃美に、ツッコミを入れる俺達を横から見ている翔。

「行ってらっしゃい、がんばれよー。」

他人事のように言う翔を見て柧乃美が

「もちろん翔も、一緒に行くんだからね。」

「え!!俺も一緒に行くの?」

「あたりまえだよ、だって英二の親友なんだから。」

そう言われて、英二の方を助けをもとめるように見てくる翔。

「諦めろ、一度言いだしたら何を言っても無駄だ。」

確かにと言わんばかりに頭をかかえる翔。

そんな翔を見ながら笑っていた柧乃美が、何かをおもいだしたように、俺にたずねてくる。

「そういえば英二、うちのクラスでウワサになってるけど、変態ってどういうこと?」

その質問に頭をかかえる俺と笑いをこらえる翔。

「もうその話は勘弁してくれ~~!!」

学校中にこだまするくらいの声で答える。

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風吹く丘と夢の彼女 秋月 翔 @ani

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