第10話;聖女とハルト

王都の近くで之奈になるスライム、ルシフはハルトのローブの中に隠れた。


入国審査で2人の偽造身分証明書をだし、門を通過して教会に向かう。


「金持ちらしき人間ばかりだな」

教会に行くと、貴族や豪商らしき人間ばかり、亜人も居ない。


「この国は差別国家だからな」

胸元でルシフがボソッと言う

「人間以外認めないってか?馬鹿じゃね・・・・」

「ハルト!怒気が漏れてるよ」


周りが驚愕の顔をして此方を見ている


「やべっ」

直ぐにフードを深く被り、認識遮断の魔法を纏う




サーチで教会内をさぐる

「居た、うわっ昼間っから酷いな・・・・」

「?何?聖女見つけた?」

「ああ、奥殿だな、でも・・・魔力切れと精神も大分来てるな・・・」

「何かあった?」

「・・・・言っていいものか・・・」

「私も精神耐性maxになってるわ、そうそう驚かないわよ」

「いや・・・女性として・・・」

「?もったいぶるわね・・何」

「切れるなよ・・・・・教皇に強姦されてる・・・・」


「!・・・・・・怒」

「落ち着け!怒気が漏れてるぞ!」


「ああ、多分勘違いしてるんだろうな」

ルシフが言う

「?何を」

「光属性は子供に受け継がれるって、そんなわけないのにな」



「!・・・・はぁ・・・同じ男としてこれはどうも胸糞悪いな」

「?」

「他の男が聖女の部屋に入って行った、拘束の魔法を使って強姦始めてる・・・・」

「・・・・クソね!殺すべきだわそんなやつ」














聖女の部屋、この部屋には入口と大き目の天窓しかない、その天窓から綺麗な星空が見えてる。

教会の幹部達は昼間しかマリアンヌを抱きに来ない。


「最近いつ服着たかな・・・・ずっと裸・・・・ドレス着たいな」


ばさっ


目の前に綺麗な薄いピンクのドレスが落ちてきた


「!可愛い・・・・誰?」


「神の使徒?」


「何故疑問形?」


マリアンヌの目の端、部屋の片隅に二人の影

二人は白いローブをまとい、白と金のお面を付けていた


「救いに来た聖女マリアンヌ」

「此処を出ましょう!」


「駄目!そんなことしたら、里の皆が殺される」


「・・・・・もう殺されてる」

「え?・・・何言ってるの?まさか・・・・いえ・・・そんな気がしてた」

「村の人たちの霊魂が私らを此処に導いたんだ」

「皆あなたの幸せを願ってたわ、恨まず幸せになってほしいって、貴方と一緒に生きられて楽しかったって」


「恨むな?それは無理かな?人を孕ませようとしやがって!生理止めてるのに気が付きもしない馬鹿な連中!排卵なければ子供出来ないっての!人間も卵からってのを知らない哀れな奴等!」


「!君は何故知ってる!」


「あっなんか魂に覚えがあると思ったら、この子転生者だ」

ルシフが言う

「あーん?何処から声がするんだ?何故そんな事知ってる!」


「ル・シ・フ?どういう事かな」

拳を構えながらハルトが訊く


「あ?いや・・・ゼウスの世界の輪廻の輪の方をぼーと見ていたら輪廻に入りたがらない、凄く綺麗な魂があって、ちょいとつまんで僕の世界にポイって・・・時間も場所も適当にしたから、すっかり忘れてた、その後どうなったかは僕は、感知してないから」


ゴン!とハルトの拳がルシフに落ちる

「HP:1で伸びてるね、溶解液~」

「此処ではやめとけ、あれはちと臭い」

「・・・そ・そうね」


「あんたたちが、まともな人間なのは分かった、でも顔を隠してる連中を信用できない」

「そうだな、他言無用にお願いするよ」


ハルトと之奈は仮面を外す


「此れでいいか?」


「!まさか・・・そんな・・・・」


「?」


「私の前世の名前は 大槻 花音よ・・・春斗・・・・之奈」



花音と名乗った聖女は口に手を当てて涙を流す。


「そんな馬鹿な・・・花音だって・・・」


<鑑定(神級)>

名前;マリアンヌ(大槻 花音)

性別;女

年齢;20歳

種族;人間

LV,50

職業;聖女


体力;2200

魔法力;12000

攻撃力;1600

知力;600

早さ;10

運;60



称号;転生者、捕らえられた者、医師

魔法属性;光・水・風・火

ユニークスキル;医学書

スキル;治癒、言語、鑑定(上級)、精神耐性、毒耐性、



「うん?あれ・・・お前ら何泣いてんだ?」

目を覚ましたルシフが3人の様子に疑問を持つ



「マリアンヌこと大槻 花音はハルトの中学時代の彼女よ・・・・」

之奈は固まるハルトを見ながら言う


マリアンヌにゆっくり近づくハルト


「こないで・・・・触らないで・・・私・・・汚いからハルト・・・何人もの男に・・・」


拳をぎゅっと握るハルト

「花音・・・汚くなんかないよ・・・・でも・・・殺す!あいつら!」

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