第4話 変態妹 美玲

「お兄様、一緒に帰りませんか。」

美玲は、校門の前で手を振っている。彼女みたいだ。それに射抜かれたのか、そこらへんにいる男子が、正面から倒れる。見れば、鼻血を出している奴もいる。美玲はそんなことも気にせず、俺に手招きをし続ける。いいご身分だこと。カシャ。近くでシャッター音が鳴り響く。女子たちは、スマホを掲げている。

「お兄様、帰ったら遊びませんか?」

俺が、美玲の近くを通った瞬間、耳打ちされる。答えは、もちろんこうだ。

「断る。」

俺は、先ほどのペースで歩き続ける。

「待ってください。お兄様。」

ふと、後ろを見ると何人かの男が倒れている。また出た。美玲自慢の百合の花。美玲は、無意識で歩いているようだが、それが一番危険だ。もしかしたら、死人が出るかもしれない。気の毒だ。

「お兄様、もし私が、この胸を隠して襲ってきたらどんな反応を見せますか。」

美玲は、俺の歩幅で歩いてくる。そして、顔を覗き込んでくる。これが、まだ、正常な俺だったらいいが、輝や橘だったら、どうなっていたところか。俺は、それっきり一言も話さなかった。

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