第18話シルバーフォックス3

 王城へと着くなり、門番に用件を伝えると直ぐ様1番隊隊長ミランダがやって来た。


「おや? ロゼッタちゃんだっけ? 今回は災難でしたね」

「あ、はいっもう大丈夫です。今日はシルバーフォックスについてお話に来ました」

「先日ロゼッタちゃんを拉致した仲間を捕えたんだけど、丁度良かったわ! あいつら口を割らなくて困ってるのよ...」


 ルークがベルガーと戦っている頃、騎士団は何でも屋の店を立ち入り捜査に入っていた。一番隊隊長ミランダを筆頭に店の中をしらみ潰しに探し、地下室を発見する。そこにはベルガーの部下達が40人程潜んでいたと言う。

 確証を得るため、ルーク達を地下牢へ案内するミランダ。

 奥へと進む度に光が届かなくなる。薄暗い通路を進むと大きな牢屋があり、そこにはベルガーの部下達が集まっていた。


「ロゼッタちゃん、さぁ」

「は、はい...」


 じろじろと囚人達を見つめ、ロゼッタが口を開く。


「単刀直入に聞くよ、貴方達のボスは女性だよね?」

「ふん! 知るかよ俺達のボスはベルガーさんだよ!

 タニアなんて女は知らねー!」


 いきり立った囚人の一人が応答するが...。


「あれ? アタシは女性て聞いたのに何で名前が出てくるの?」


 不思議な顔をするロゼッタ、このまま攻め続けろと言わんばかりにロゼッタの証言が続く。


「ミランダさん、この人達はベルガーの部下でシルバーフォックスを語った悪です! アタシ達はそのボスに助けられました」

「私もシルバーフォックスの噂は聞いてます。悪人からしか金品を奪わず、貧しい人に手を差しのべていると」


 騎士団にも、噂は広まっているシルバーフォックス。特に王国に害を及ぼしていないので、王国もシルバーフォックスに関しては今回の件が起きるまでは無関心でいた。


「決まりですね! 彼らは王国裁判にて正式に審判を下します」


 ロゼッタの証言通り今回の件は、シルバーフォックスの内輪揉めと判断し、事件は解決。地下牢を後にし、一人の騎士とすれ違う。


「き、貴様は! ル、ルーク!」

「ん? どこかで会った?」


 髪を結った金髪の騎士が、ルークを見て憎悪の表情を浮かべる。ルークは何も知らない顔をしている。


「控えなさい! アルフレド! お客人の前ですよ」

「ミランダ隊長、私はこの者と因縁があります!」

「理由はどうであれ、お客人の前ですよ! とにかく控えなさい!」


 一喝され、この場は引いたアルフレド。ルークを再度睨み付け、その場を立ち去った。


「失礼しました...彼は二番隊隊長アルフレド。ルークさん何か因縁があったのですか?」

「いや、思い当たる節がねー」


 シルバーフォックスの件は解決したが、問題は悪魔丸。どう言ったルートで入手したのか? 捕らえた囚人を尋問しても中々口割らず、王国裁判はまだ先になりそうだとミランダは言う。


「じゃあ、用事も終わったから帰ろうかルーク」

「そうだな、腹減ったから早く帰って昼飯食おう」


 王城を後にし城門を出ようとした矢先、アルフレドが待ち構えていた。


「ルーク! 貴様の顔を見ると虫酸が走る! この傷忘れたわけではあるまいな?」


 アルフレドが髪をかきあげ、額に大きなアザを見せる。


「あぁ、思い出したわ! 昔、俺に仕返しを食らった貴族様かよ」


 このアルフレドこそ、少年時代のルークを虐めていた貴族。数年後ルークに仕返しをされた男だ。


「覚えてくれていて、光栄だ! 貴様とわたしは今は立場が完全に違う! 言っている意味がわかるな?」

「へいへい....」


 自分の立場を良いことに、職権乱用をするアルフレド。騎士の立場を利用して、ルークを煽り立てながら圧力をかけているが、ルークはさらりと聞き流す。

城を後にするが、アルフレドのルークを見る視線が憎悪で溢れ帰っていた。















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