第2話 上陸、ゴコクエリア!

「さぁみなさん!ついにゴコクエリアへ着きましたよ!」


 ゴコクエリアの港に着き、船を降りたサーベル達にミライさんが声をかける。


「…本当にここに住むんだね、ちょっと寂しい気もするかな。」


「今更なーに言ってんのよ!あんたらしくない。」


「だって、あそこにはたくさんの思い出があったんだよ?やっぱり、恋しくなっちゃうよ。」


「まぁ、わからないでもないけどそこまで悲しむほどでもないでしょ。」


「うー、カラカルの薄情者ー。」


「だって、思い出なんてまた作ればいいでしょ?」


「ここにはいつものみんなとまだ隅々まで知らない場所があるのよ?冒険が好きなあんたならうってつけでしょ。」


「そうですよ、サーバルさん。それにここにも思い出がないわけではありません。みなさん少しついて来てください。」


 ミライの案内で連れて行かれるサーバル達は港を歩いていた。そして、ある物を発見する。


「ガイドさん!この船って…!」


「そうです、以前ここを訪れた時に映画撮影をしましたね。この船、私が言って置いといてもらったんですよ。」


 そこには船が二隻あった。

 二隻の船はかつてサーバルたちが映画撮影の時に使った船だった。

 サーバルたちが乗っていた船は何ともないものの、カラカル達が乗っていた船の方にはラクガキが描かれていた。


「セーバル、覚えてるよ。とっても楽しかった。」


「うん、ルルも楽しかったよ!負けっぱなしだったけど。」


「まぁ、確かに面白かったわね。(オイナリサマの命令を受けてる途中にあんな事するのはおかしいと思ったけれど)」


「でも悪役だったというのは未だに悔いがありますわ。変な口調になってしまいましたし。」


「歌が歌えなかったのは本当に残念だったわ。」


「私はかなり楽しかったわね。良いサーバルの表情をいっぱい見れたし。」


「もうっ、カラカルってば台本を無視して私をあそこまで追い詰めて。ちゃんと守らなきゃダメなんだよ!」


「サーバルが弱すぎるのが悪いのよ。あれじゃあ手加減したって負けないわ。」


「な、なにをーっ!ガイドさん!園長!私弱くないよね!?カラカルが強すぎるだけだよね!?」


「安心してくださいサーバルさん。サーバルさんはとっても強いですよ?だってセルリアンの女王だってパッカーンっとやっつけたじゃないですか!」


「…えへ、えへへへへ、うんうん。そうだよね。私はジャパリパークを救った英雄だもんね!」


「随分とドジな英雄ね。」


「サーバルが英雄、ということはサーバルの特別から生まれたセーバルも英雄、わーい。」


「あなたが英雄を名乗って良いのかしら?」


 よく分からない思考回路で自分も英雄だと言い張るセーバルにどこか呆れた様子のギンギツネ。堪らずみんなもあははははっと笑い出した。

 そこでミライは話を切り上げ、自らの住処となる場所に行こうと提案する。

 それに賛成したサーバルたちは楽しくお喋りをしながら歩いていくのだった。



























「ねぇねぇみんな、忙しくなくなったらみんなでガイドさんの新しい帽子を買ってあげようよ!」


 小声でそう話すサーバルに賛成しない者は居なかった。

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