ジャパリパークの日常

@ozizousama

第1話 ゴコクエリアへ、レッツゴー!

「みなさん、忘れ物はありませんよね?」


 多くの船が停泊した港でミライさんは彼女達に確認した。


「もっちろん!準備万端だよ、ガイドさん!」


「ほんとかしら?サーバルの事だからどうせなにか忘れてるわよ。」


「むっ、私そんなドジじゃないよ!」


 あはははは、そう言ってみんなが笑えば、サーバルも釣られて笑い出した。

 みんなの黄色い笑い声は澄み渡った青い空とエメラルドブルーの海の彼方へと響き渡った。

 太陽はまるでこれからの旅を祝福するかのように眩しく光り、海の表面をきらめかせていた。


「ふふふっ、さて、ではみなさん。船に乗りましょうか。」


「はーい!」


 サーバルが元気に大きく足を開いて歩き出し、船の甲板の上へと乗り込んだ。するとすぐに180度体を回転させると大きな声で言った。


「えへへ、サーバルいっちばーん!ほらほら、セーバルも早くおいでよ!」


 サーバルは少し前へ出ると、手を伸ばしセーバルの手を掴んで引っ張った。

 引っ張られたセーバルは少しキョトンとしていたがやがて笑顔になる。そして


「セーバル、にばーん!」


 と、自分が二番目に船に乗った事を宣言した。


「まったくあの二人は、何を競争してるんだか。」


「わーい!じゃあルルはさんばんめー!」


「…もう一人いたみたいね。せっかくだから祝福に歌を贈ろうかしら。」


「そんなの祝福にならないわよ!」


「くっ、このまま順位が落ちていくのは気に入りませんわ。お待ちなさーい!四位はこの私がいただきますわ!」


「なぜかトキが歌おうとしてるわね、耳栓いるかしら?カラカル。」


「…えぇ、念のため受け取っとくわ。ギンギツネ。」


「あっ、最下位は園長だね!えへへ、じゃあ後で"罰ゲーム"だね!」


「えっ!?そ、そんな!理不尽だよ!」


「だめ、昔から最下位は罰ゲームを受けるってサーバルが言ってた。だから園長も受けないと。」


「サーバルに何を吹き込まれたのセーバル!?そんなルール別にないよ!」


 大騒ぎしながら船に全員が乗り込むのを確認したミライは港に見送るために来たラッキービーストを見て、手を振った。


「また!また必ず戻って来ますから!待っててくださいっ!」


「ワカッタヨ、ミライ。…マタネ。」


「またねー!ラッキー!」


 船に乗り込んだみんなはラッキービーストに向かって手を振った。

 すると、船員はボタン操作で船に乗り込むための足場を上げた。いよいよ出航の時が来たのだ。

 船が進み出した後もみんなは手を振るのをやめなかった。やがて、ラッキービーストの姿は見えなくなってしまった。


「…ラッキー、また会えるよね?ガイドさん。」


「えぇ、きっと時間の異変を解決させて、またここに帰りましょう!」


「うんっ!」


 船は進む、ゴコクエリアを目指して。

 この時通った航路は後にある一行が再び辿るのだが、それはもう少し後の話である。

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