第29話 審議

アスカがマスカルの事務所から帰った後…


「それで?煉鬼れんきが見た感じ、どう?」


ミッコはリクではなく、煉鬼れんきに話しかけた。


【ふぁ~。ん?なに?見た感じって?】


煉鬼れんきはあくびをしながらとぼけたようにミッコに言い返す。


「とぼけないでよ。あのノキアっていうオリジンの言った言葉が本当かどうか、よ。」


ミッコはノキアの言った『第六感だいろっかん』のことを聞いている。


【本当かどうか、ねぇ。もし嘘だったらどうする?次来た時に襲う?】


「それは…別に襲ったりはしないけど、なんでそんな嘘ついたのかって、問いただす。」


「ふん。甘いな。もし我らに偽りの言葉を伝えたのならば、その者は生きる価値なし。我がとどめを刺してやろう。」


「あんたのオリジン、後方支援向きじゃない。」


「ふっ。我の加護で力を受けたものは、みな我の手足となるのだ。故にミッコ、バルメラ、貴様らに我の力を与えよう。」


「それって結局私たちが相手するんじゃん。」


「気にするな。うわっ!?何をする!」


ミッコは手じかに合った物をカズマに投げつけている。まぁでも、ミッコの言うことも一理ある。


「それで?煉鬼れんき、どうなんだ?」


煉鬼はこちらをじろりと見てくる。その目にはこう書かれている。『たまには自分で考えたらどうだ?』っと。リクはため息を吐きながら


「そんな目をするなよ。僕は煉鬼れんきみたいになんでも知ってるわけじゃない。」


【あたしも全てを知ってるわけじゃないよ。あたしのスキルは殆ど直感みたいなものだからね。間違えてる可能性もある。】


ここまで間違えたことないけどね。っと舌を出しながら言ってきた。


【まぁいいか。あの子の言ったことは本当だよ。嘘はなかった。】


「そっか。それならもっと踏み込んで話せばよかったかな。リクが連れてきたってことは、ってことはなさそうだし。」


その言葉に、事務所内は静かになる。


「ま、まぁ手先ではないことは間違いないよ。アスカ、嘘が苦手そうだし。」


「それもそうね。」


「一応さっき連絡先を交換したときに彼のアドレス帳を確認してみたけど、の名前はなかった。」


「…偽名を使っているという可能性は?」


「カズマみたいに?」


「我は偽名など使わぬ。」


「いや。は偽名なんて使わない。それだけは確実だ。」


「そっか。それじゃあどうする?本格的に仲間にしちゃう?」


「そもそもそれが目的で連れてきたんだけど…」


「あっそっか。」


2人は笑いながら、1人は外を見ながら、シグナルの夜は更け始めた。

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