第28話 スキル

「さて、お互いの自己紹介も終わったし、次はスキル紹介といこうか。」


スキル説明か。俺の場合なんて言えばいいんだろ?まぁそこら辺はノキアがうまくやってくれるか。


「まずは言い出しっぺの僕から。僕のオリジン煉鬼れんきのスキルは『本能ほんのう』。自分に向けられた気配や殺気を感知して居場所を知ることができるんだ。最も、相手から何もされなきゃわからないスキルなんだけどね。」


ほー。つまりはノキアのスキルの劣化版みたいな感じなのかな?そんなノキアはリクの言葉を聞いて考え混むような仕草をみせた。一体どうしたんだ?


【先ほどみせた何もない空間から剣を出したのは貴様のスキルではないのか?】


ノキアはさっきの戦いで起きた出来事について語っている。でも確かにそうだ。さっきの戦い、煉鬼れんきはいつの間にか剣を持っていた。あれは一体…


「あー、あれね。あれはスキルというより、煉鬼れんきの持ち物かな。」


持ち物?どういうこと?


「ほらここ見て。煉鬼れんきの腰に赤い袋があるでしょ?」


リクはスティアの電源を入れ煉鬼れんきを見せてきた。彼女は横になって寝ていたが、確かに腰には赤い袋があった。


「あれは紅琥珀べにこはくと呼ばれていて、あの中には煉鬼れんきの武器とかが入ってるんだ。」


「えっ!?じゃああのでかい剣はあそこから出したの!?でも大きさが…」


「あの袋の中は四次元みたいになってるらしくて、煉鬼れんきが袋の中に仕舞った物はすぐ取り出せるようになってるんだ。まぁそんな物を持っていたからこそ、スキルは若干弱いのかもしれないけどね。」


あははとリクは笑っている。なるほど。そんな便利なものを持っているオリジンもいるのか。


「あっと、次は俺か。えーっとノキアのスキルは…」


と、俺が説明しようとしたところで


【私のスキルは『第六感だいろっかん』だ。半径200メートルの相手の居場所を探ることができる。】


「…えっと、まぁそんな感じ。」


なんで俺に説明させてくれないんだ?もしかして、俺がノキアのスキルを覚えてないと思ってんのか?


「へー。煉鬼れんきの上位互換じゃん。」


「…なかなか使えそうだな。」


おっ。なんか褒められた。


「次は私ね。バルメラ。出番。」


【おうよ。俺様のスキルだな?俺様のスキルは『必中ひっちゅう』ってんだ。俺様が狙いを決めた相手には俺様が投げたモノが確実に当たる。どこに当たるかはわからねぇがな。最も、愛の言葉は空振りばっかだがな!】


ガハハッと笑いながらミッコのオリジン、バルメラはそう告げた。ってことは、バルメラの腰に下げてる拳銃も、絶対に当たるってことだろ?それって、なかなか強いんじゃないか?


「さて、最後はカズマだね。」


「我の名は狂魔きょうまだ。ふん。我の使い魔の術だな?我が使い魔ネヴュラの術は『千里眼イービルアイ』!魔界の目を用いて半径300メートルを見通すことができる!」


イービルアイ?


「『千里眼せんりがん』ってこと」


ああなるほど。あれ?そういえば…


「なぁ。俺、まだカズ…狂魔きょうまのオリジン見てないんだけど。」


「ふふふ、我の使い魔が見たいというのか?よかろう!貴様も我がマスカレードの一員だ!特別に見せてやろう!」


マスカレード?なんだそれ?


「カズマ。このチームの名前はマスカルだって言ってるでしょ?」


「カズマではない!狂魔きょうまだ!そしてそんな名は知らん!この集いの名はマスカレードだ!」


「はぁ。まぁ、気にしないで。」


は、はぁ。いいのだろうか?


「まぁよい。我が使い魔だな?いま召喚してみせよう。来い!我が忠実なるしもべ!ネヴュラよ!」


カズマ。もとい狂魔きょうまがスティアの電源を入れると、スティアには黒いとんがり帽に黒いローブを纏った髪の長い黒髪の女性がいた。彼女がネヴュラか。


「ふふん。光栄に思うがいい。我が使い魔をその眼で見れたことをな!」


うっぜぇ。


【…ネヴュラ。よろしく。】


「え?あーえっと、はいよろしく。」


「ネヴュラは基本無口だから、返事がなくても怒らないでね。」


リクは頬を掻きながらそう言った。無口な人なんだ。そういう人は何考えてるかわからないからなー。ちょっと苦手かも…


【以上で説明は終わりか?ならば1度家に帰らせてくれないか?あまりに説明が多いと、アスカの頭が破裂するのでな。】


「するわけないだろ!」


急に何言ってんだよ!?ほらミッコさんまたお腹抱えて笑ってるよ。


「うーんそうだね。ここまでいろいろ説明しちゃって疲れちゃったかもしれないし、続きはまた今度でいいか。」


リクはノキアの言葉に納得したように話を終わらせようとした。いや、別に大丈夫だって。これくらいで頭がパンクしないって。…多分。


「さて、それじゃあ話はまた次回ということで。アスカ、連絡先教えてくれる?」


ああそっか。連絡先がわからないと、次どこで待ち合わせとかも決めれないしな。


「いいですよ。これが俺の連絡先です。」


俺はリクと連絡先を交換する。


「はいオッケー。それじゃあまた後で連絡するよ。」


「私も私も。」


「我の黒き名簿にも、貴様の名を記させてやろう。」


黒き名簿ってなんだよ。そうして俺は、ミッコと狂魔きょうまからも連絡先を交換し家に帰った。

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