第4話 1節 アトランティスの最期(3)

重力波じゅうりょくはって、超新星爆発ちょうしんせいばくはつ衝撃波しょうげきはとは違うんですか?」

手を上げて、ケンが質問した。


「おーっ、ケンは良く勉強しているなあ。だが、重力波と超新星爆発の衝撃波は別のものだよ。超新星爆発の衝撃波のことは別の機会に解説しよう。重力波は、特に巨大な質量しつりょうをもつ天体が光速に近い速度で運動するときに発生する。巨大な質量をもつ天体とは、例えば、ブラックホールなどだ」


タカハシ先生は、生徒達が興味を持って聞いているか、みんなの表情を観察する。


彼は、生徒の半数以上が理解できていないと感じて、別の話題に切り替えた。


「この忍者高校では、影宇宙かげうちゅうって言葉を聞いたことのある人は多いと思う。影宇宙の存在は一般には信じられていないが、わが忍者高校では影宇宙の構造を教えることにしている。君たちの中には、影宇宙を通って過去の時代に行ってきた人たちがいる」


タカハシ先生がヒロ、サーヤ、ミウ、ケンの顔を順に見ると、マリがよく通る声で話し始めた。


大怪我おおけがをした私を助けるために、ヒロ達が影宇宙を通ってサーヤを捜しに行ってくれたんです。サーヤの特別な能力が・・・、あっ、うーん詳しいことはよく分かりません・・・」


サーヤの特殊能力のことは秘密だったことに気づいて、マリはあわてて話をやめた。


「そうだな、マリ、今は影宇宙の構造について話をしようとしているところだよ・・・。おっと、時間が来たから、影宇宙、宇宙の創世記、手の中の宇宙については、次回の授業で説明しよう」


すこし残念そうな表情を見せて、タカハシ先生は教室を出て行った。


「ミウ、ケン、ちょっと廊下ろうかに出て話をしよう。サーヤとマリもついて来て・・・」

ヒロが声をかけて、教室を出た。


「何かあったの?」

ミウが、心配そうな顔をヒロに向ける。


「ヤミのたましいが地球から離れたのは、三年前の今頃だった。太陽の活動が落ち着いてきたから、もうすぐヤミの魂が戻ってくるよ」

ヒロは、ミウたちだけに聞こえるように小さな声で話した。


「じゃあ、またヤミの魂にそそのかされた独裁者どくさいしゃや暴力的な集団が現れるってことか」

ケンは、なぜか天井をにらみつけて、つぶやいた。


「うん、だから早く父さんに会って、ヤミの魂との戦いに勝つ方法を教えてもらいたいんだ。三年前に、タカハシ先生に父さんのいる場所をたずねたら、母さんのところに行って教えてもらえって言われただろう」


ヒロがサーヤに視線を向けた。

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