第2話 初射撃

俺が沈んでいる(地下に移動している)時に目の前に液晶画面が移動してきた。

『左にある棚から武器を取り出してください。』

俺は言われた通り左の棚から拳銃を取り出した。

『その拳銃はデザートイーグル。』

「本物か?」

金属感がすごかったので思わず聞いてしまった。

『偽物に決まってるでしょ?何言ってんの?』

――生意気なやつだな。

「お前、AIだよな?」

『違うよ?』

――嘘だろ?

「じゃあ何者だ?」

『僕の名前はリザ。よろしくです!』

――『よろしくです』じゃねぇよ!おかしいだろ!

思わず俺は聞いてしまった。

「君、女子か?」

『あんた何言ってんの!?』

「性別聞いただけだろ!」

『体つきからしたら女子でしょうね。』

――飛んでもないことを口走りやがったな

「君って本当に機械だよな・・・?」

『機械ですが一応この世に存在してます。』

「訳が分からないんだが・・・」

『説明は後でするので訓練をしましょう。』

「分かった。」

その頃にはちょうど訓練施設っぽい場所に着いていた。

『このエレベーターから出たら左のロッカールームに入ってください。』

「この格好じゃダメか?」

俺的にはスウェットにTシャツという動きやすい格好だったのだが・・・

『骨を折りますよ?』

「この拳銃って偽物なんだよな?」

『はい。少なくとも鉛玉は出ません。』

「なら、BB弾とかカラー弾が出るってことだよな?」

『いいえ。ゴム弾です。』

――嘘だろ?

なんて思ったちょうどその時に母さんが到着した。

「浩平、拳銃貰った?」

『デザートイーグルを渡しました。』

「なんでリザは、そうゆう拳銃を渡しちゃうのかな・・・。」

「この拳銃になんかあるの?」

「それはね・・・」

「それは?」

「打ったら分かるわよ。」

「嫌な予感しかしないのだが・・・」

『反動で骨が折れてもすぐに治しますから心配しないでください。』

「骨折れるくらいの反動なの!?」

「大丈夫、大丈夫。」

「もしかして最初から1人で・・・?」

「もちろんだよ?」『当たり前だ。』

――骨が折れるという選択肢しかないのか

そう思わずにはいられなかった。

「ここをこうして・・・」

玉の準備は母さんがしてくれたのでどんな玉なのかは分からなかった。

「さぁ、打ってみて。」

――パーン――

「うわっ!?」

俺が引き金を引いて発射された銃の弾はゴムが先頭に付いているだけの半ば鉛玉と変わらないような代物だったので反動も半端じゃなかったので、肩を脱臼した。

「リザ、肩を治してあげて。」

『分かりました。』

リザは俺の肩を治してくれると思ったのだが・・・

「うわぁぁぁ!?」

逆に俺の股をわり始めた。めちゃくちゃ痛かった。

『こんなんで痛がるなんて・・・』

「体の硬いやつにそうゆうことはやったらダメなの!」

『アッキーの娘だとは思えないよね・・・』

「母さん、アッキーってまさか・・・!」

『明子のあだ名ですよ?』

「そのあだ名はやめて!」

『何故ですか?』

「いいからやめて!」

「父さんに教えよ〜っと。」

「それだけはダメ!」

『明子、早く浩平に説明してあげてください。』

「そ、そうだったわね。」

この地下の施設で行うことはいわゆる人生をかけたギャンブルである。先ほどのゴム弾(ほぼ鉛玉)で犯罪者と撃ち合い、もし俺たちが負けると犯罪者達が出所する時に多額の現金を受け取ることが出来たり、刑期を短くしたりすることが出来る。だから俺たちは絶対に負けられない戦いをしなければならないのである。母さんは最後に

「もし負けると・・・」

『死にますよ。』

「リザ、冗談はよしてよ〜。」

『何が冗談なんですか?』

「本当は死ぬの?」

「えっと・・・その・・・」

『死にます。』

「ちょっとリザ!?」

『言わないと可愛そうですよ?』

「今言わなくてもいいでしょ!?――泣きそうだし。」

「命がかかっている・・・」

「ほら!絶対やらないって言うやつじゃん。」

「面白そうだね?」

『骨を折ることはありますが死ぬことはありませんよ?』

「もしかして、はめたの!?」

「うん。」『もちろん。』

「リザ、アンインストールされたいの?」

『嫌に決まってます。』

AIなのにガチで嫌がっているリザはほっといてもう1発だけ打ってみた。

――パーン――

案外あっさりと撃てた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る