マザコン

35歳 生花店経営

常連 独身


彼は太っている

顔も脂でテカテカ


彼は母と花屋を経営しているお坊ちゃま

かなりのお金持ちで

駅前にビルをいくつか持っているし他に土地も持っている


花屋も道楽商売で

6月~9月の間は店を閉めている


理由は

『夏は暑いから花がもたない』

だそうだ

その間

海外に行ったりして遊んで暮らしている


初対面の印象は

極々普通の真面目そうな人

好印象と言ってもいい位


だが…

段々と彼の隠れた性格が顔を出し始める


数回目来店

酔い始めた彼はハイテンションになり始めた

『NaNaチャンお手』

私の前に片手をだす


わん


ノリでやってあげたら

よしよし頭なでられた


『NaNaチャンお手』

わん

『NaNaチャンお手』

わん

『NaNaチャンお手』

わん



『NaNaチャンお手』

……

しつこいんだよもうやらない


『NaNaチャンお手』

『NaNaチャンお手』

『NaNaチャンお手』

『NaNaチャンお手』

『NaNaチャンお手』



『お手っ!!』


余りにもしつこいので笑みを浮かべながらもシカトをして他のお客様の所へ避難した

後ろで声が聞こえる…


『お手』

『よしよし』

『お前は可愛いぃね』

『はいお手』

『よしよしなでなで』

『いい子だね』


振返ると…

テーブルの上に飾ってある

花に向かって1人で黙々とやっていた…


ママが茶化す

「あんた達話しも合う見たいだし独身同士だし見ててとってもお似合いよ」


NaNa「そうですかぁ・・」

(ママ…やめてくれ)


『じゃNaNaチャン付き合おうか金には苦労させないよ』


「あらいい話しじゃないNaNaチャン玉の輿」


NaNa「…そうですね素敵だわアハハ」

社交的NaNaチャンです


数日たって彼が入って来た

後ろに人影が…

『今日は母連れて来ました』

お母様と一緒にご来店


『母さんこの人が話しをしたNaNaチャン』

「あっ初めましてNaNaと申します」

取りあえずお互い挨拶


「あらあなたがNaNaさん素敵な方ねうちの息子にはもったいないわ」

『母に話したらNaNaチャンに会いたいって言うから』


(何を話した?)


「息子が彼女が出来るかもしれないからお母さんも挨拶してって言われちゃって」


1人で勝手に突っ走しるな花屋


お母様を連れて来てしまったからにはもう冗談で対応する訳には行かない…

どうしよう

ハッキリ断わりたいが

店に来てくれなくなるのも困る


金払いは良いので上客の部類だしね

まっ

取りあえず良くあるパターンでお断りするか


「いいえこちらこそ○さんは私にはもったいない方ですよぉ私家事一切出来ないし」

と…お母様から返ってきたセリフ…


「見ての通りこんな息子でしょ、もうすぐ40代になるし、もうこの際一緒になってくれるなら見た目が女だったら誰でもいいのよアハハ」


女なら…

誰でもいい?…

誰でもいい?…

誰でもいい…

ダレデモイイ…


ちょっと…ショック


すると花屋

『誰でも良くなんかないよ

そんな事言うとこうしゃうぞ!コチョコチョコチョ』

猫を構うように

お母様の喉をコチョコチョくすぐり始めた


嫌がる母

しつこくくすぐり続ける息子

痛い…痛過ぎる…


そんな事がしばらく続いた後

花屋がトイレに行った

そのすきにお母様が私に声をかけた


「NaNaさんごめんなさいね

あんな男嫌よね

ってか私だってあんな息子嫌だわ」


なんか…哀しそう…お母様

口ではそうは言ってもヤッパ息子さんが可愛くて心配なのね


そろそろ酔ってきたお母様

息子の前でママに相談を持ち掛ける


「ママこの子今まで1人も彼女居ないのよこんな歳で女の子と付き合った事ないなんて

情けないでしょ

その内暴走しないか心配で…」


母親…

息子の息子を心配する


ママ「アンタ!! 本当かい?その歳で女知らないのかい?童貞なのかい!」

花屋に直球を投げる


花屋『いや経験あるし』


だよねぇ~

いくら何でも

んな訳ないよねぇ~

ちょっと

ほっとしました


ママ「お母さん心配しなくても大丈夫よ知らない所でしっかり彼女作ってるのよ」

お母様を安心させるママ

その時…

花屋が口を開く


『いや僕生まれてから1度も彼女いませんよ』

『僕初体験フィリピンの女性だから今でも通ってるし。ってかフィリピン女性以外知らないし』


笑顔でカミングアウト

母親の前でカミングアウト


ヤッパ痛過ぎる

母…泣きそうだぞ


ってか

これじゃ日本人の彼女出来たら

物足りないな

絶対


ママもそれを聞いてから

「NaNaチャンお似合いよ」

を 言わなくなりました


その後

相変わらず母親相手に

喉をコチョコチョ

頭なでなで

しながら呑んでましたケド…


帰り際

お母様「今度から1人で来るわ」

と 言いながらも2人仲良く帰って行きました


その後も月に2回ペースで花屋はやってきます

前よりしつこくはなくなりました

きっと母親に何か言われたのかもね


だが

うちには悪魔がいる…


ママ「NaNaチャン嫌でも気のある素振りしてるんだよ

あの子は太客ふとっぱらだからね!フッ」



悪魔



健在


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