ある世界で君は酸素だった

大木だった事もあれば

稚魚だった事もあった

四足歩行の哺乳類や

赤く実った果実や風にそよぐ草花


いろんな姿でいろんな世界を見てきた

君になら分かるだろうか

私が次に創るべき世界を


長い長い旅の途中

ある時私は初めて考えた


ただそこにいて

ただ生きている

それでも君は良かったと思うのか


私は初めて考えた

君は今まで幸せだっただろうか

一度でも幸せだと感じた時が

あったのだろうか


私は願いを持った

君に話して欲しいと

笑って欲しいと

駆け回って欲しいと

そしてもっと生きて欲しいと


ああ

長い間見つけられなかった答えに

ようやく辿り着いた


私の創った最初の君よ

そばにいて欲しいと願った唯一の君よ

世界が幾度変わっていけど

私が変わらず望んだ君よ


何度も求めた理想の世界

終わりの見えない暗闇の中で

それでもずっと探し続けてこられたのは

どの世界にも必ず君が


君がいたから


長い長い旅の終わり

理由と意味とその先に続く道を知る


私の理想の世界とは

君がそこにいること

幸せであること

幸せであり続けること


さあ

新しい世界を創ろう

君が笑顔でいられる世界を

特別な存在でなくていい

ささやかな幸せが降り注ぐ世界を


大切な君よ

唯一の君よ

私の願いをどうか覚えておいて


最後の世界よ

素晴らしくあれ

未来永劫美しくあれ


どうかどうか

次の世界では

ずっとずっと



幸せであれ















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