君の物語

湯野実


その世界には唯一無二の支配者がいた


絶対的な力をもって

意のままに創造しては破壊していた

何度も何度も

理想の世界を追い求めて


『理想の世界とは何だろう?

 どのような世界なら私は満足するのだろう?

 分からない

 けれどこの世界もまた

 私の求めるものではなかった』


支配者は自問を続ける

積もりゆく焦燥と苛立ち

繰り返される誕生と滅亡

その輪廻の中に未だ安息は見つからず


 『世界を創造する理由を知りたい

 私でなくてはならぬ意味を知りたい

 最古の世界より私と共に

 この果てしなき繰り返しを

 そばで見てきた唯一の君よ

 どうか私に教えて欲しい

 素晴らしき世界とは

 私の旅の終わりとは』

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