幻想詩集

凪常サツキ

両手に収まる幻想を

遠い水の記憶


瑞々みずみずしい戦の記憶が よみがえって来はしないか?

気のせいだろうか いや 確かに

水という空気は、僕らの身体を守り 閉じ込めた

空気という暴君は 僕らを無慈悲に突き刺し そこに慰めはない

でも もしかしたら 

僕らが暴君なのかもしれない

腹の中に、収まりきれず

痛みを痛みとして伝え

宿る炎を、燃やせるよう

水から飛び出す

向こう見ずに 飛び出していった


だから

だからこそ


子供は火の子

大人は 時には彼らを委縮させる


だから風の子

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