女子高生二人いれば世界はこんなにもあざやかでいとおしい

「えっめっちゃスクロールバーのつまみちっちゃいじゃん!」――と思ったそこの君。ブラウザバックするのは待ちたまえ。
確かにこの作品の一話は、一般的に供給される Web 小説の一話よりも長い。およそ二~三倍ある。けれども待ってほしい。

この話は、広丘さん(かわいい)と明科さん(かわいい)、二人の女子高生が、とりとめのないことを話しながら、彼女たち以外の誰ともかかわることのなくなった世界を旅する話――タイトルと紹介文から察せられるとおりの内容だ。ここでよさを感じられたなら、一話が一万字前後あろうが、一瞬で読める人だ。安心して読んでほしい。

まだ不安?
何をおいても、広丘さん(かわいい)と明科さん(かわいい)の間でかわされる会話の魅力の前には、一話の長さは問題ではない――どころか、こういうのが好きな人はきっと無限に読めるはずだ。ぼくは無限に読める。

軽妙でみずみずしい筆致で描かれた、しょうもなくて、どこかズレていて、ときどき本質的な、思春期の自意識をこじらせぎみの女子高生(かわいい)ふたりの等身大のやり取り。傷の舐め合いでなく、手を取り合って世界を歩いていく前向きさ――それがいとおしくないわけがない。

この二人がこの後どこへ向かってどんな世界を見てどんなことを話してどんなことに笑ってどんなことを思うのか、この先が描かれるのがとても待ち遠しい。