第二章「最前線合同訓練」

第二章 プロローグ「その男、気まぐれにつき」

コンッコンッとドアをノックをする音が響く…


「支部長、準備が整いましたので報告に参りました…」


「入れ」


男が支部長室と書かれた部屋に入ると目の前を刃物が通り過ぎる。


「んなっ!!」


「ふっ惜しいなぁ…」


「惜しいなぁじゃないですよ!支部長!」


この男の名は、サブサイド第1支部第1隊隊長“我妻がさいマコト”。


そして…


「今日もいい反応だったな我妻☆」


この男こそ、サブサイド第1支部支部長、雷殿らいでんリョウである。


「支部長室に変な仕掛け作らないでください。それより、合同訓練の準備が出来ましたよ」


「はいはい、あとで見に行くよ〜」


「今見てくださいよ、あなたの許可が出ないと事が先に進まないんですから。」


雷殿リョウがピクッと反応する。

「ミスった!」と我妻マコトは心の中で叫ぶ


「あぁ?お前、俺のペースを崩す気かよ?」


と雷殿は我妻を睨む。

すると窓も開いてないのに風が吹き荒れ、部屋全体に電気が走り始める。

我妻は即座に膝をつき頭を下げる。


「すいません!支部長!過ぎた真似を!自分が焦ったばかりに支部長のペースを乱してしまいました!」


体中に冷や汗をかいている。


「ふっ冗談じゃないか我妻、縮こまりすぎだ」


我妻は今のは決して冗談ではなかったと内心で思う。


「いいさ、今見に行ってやるよ」


と雷殿は椅子から腰を上げる


「今の俺は機嫌が良いんだ、今年の合同訓練は面白くなりそうだからなぁ☆」


にやけながら膝をつく我妻の横を通り、支部長室を出る。


「さぁはじまるぞ、レイコ」


笑いながら準備が出来たという合同訓練の会場へと消えていった。


雷殿が出ていった支部長室では、我妻がへなっと座り込む。


「本当にあの人の扱いは難しい…」


と言いながら我妻は自分の持ってきた資料を見る。


「やべ…ハンコ貰わないと…」


支部長の欄が白紙のままの資料を見て軽く絶望する。

雷殿を追うため我妻も支部長室を後にする…

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