あとがき

 拙作『リレイヤーズ・エイジ - VIVID AVERSIVE EVEヴィヴィッド・アヴァーセヴ・イヴ -』をお読み頂き、本当にありがとうございました! とうとう、後半戦の先頭バッターである第五章が終わりました。どうでしょう、まさかのバッドエンド、敗北エンドです。そもそもパラレイドは、次元転移ディストーション・リープによってどこにでも出現する軍勢です。無人機による物量作戦を仕掛けてくるのが、今までのセオリーでした。

 だから、人類同盟はどうしても対処療法にリソースを割かざるを得ません。

 しかし、今回は常に守りありきの人類同盟じんるいどうめいが攻めに転じた……破壊すればパラレイドを大きく弱体化させる、リレイド・リレイズ・システムが実体化したからです。

 ですが、そのことをトウヤに読まれていた。

 エースだけを集めた最精鋭部隊に、現在動員できる最高の機材と機体……疲弊した西暦2098年の世界では、宇宙での作戦展開は非常に大変だったと思います。なにせ、一部の文明は衰退、後退しているのですから。

 結果、手薄になった地球にパラレイドが全戦力を投入、あらゆる主要都市が陥落しました。でも、これで終わりではありません……そして、ここからまた反撃です!


 あ、さて……ロボットかどうかは賛否両論あるらしいですが、今回のセラフ級のモチーフとなったのは、皆様御存知の歴史的名作『新世紀エヴァンゲリオン』です。要塞都市である第三新東京を含めて、そっくりそのまま月面に作ってみました。ジオフロントまでついてます(笑)丁度一年前くらいかな? 月の裏側に、巨大な地下空洞があるとニュースになりました。そのへんにも便乗した感じですね。

 エヴァは1990年代後半、社会現象にもなった作品です。世界系と呼ばれる作風は、当時の世紀末ムードも相まって非常に話題になりました。しかし、作品が世界系として、マクロな世界観の変化を、ミクロなキャラクター同士の狭い人間関係に密着させる中で……クリエイター側の人間もまた、閉じた世界に陥っていきました。今でもTV版の最終回、そして旧劇場版は語り草です(リアタイ視聴し映画の初日に見た俺の驚きといったら……!)。

 それでも、エヴァが名作足り得るのは、本気が詰まっているから。特撮とアニメを大好きな人間が、本気で情熱を注いでいた。その結果、監督が擦り切れてしまったりした訳ですが、フィルムに込められた想いは本物です。同時に、アニメ業界に大きな変化をもたらしました。まず、今では当たり前の製作委員会制度、これはエヴァが初めてだったと思います。次に、難解で複雑な設定を大量に「ちらつかせる」……決して「描写」したり「説明」したりはしません。ただ「ちらつかせる」だけ。なにかがあるんだよと思わせることで、世界観を広げるという手法が話題を呼びました。謎本、沢山出ましたね(笑)

 最後に、多くの「エヴァっぽい作品」を生みました。なにも悪いことではないです。優れたジャンルとして認知されたので、後追いの作品が生まれて「エヴァ系」と呼ばれるようになった。玉石混交の中から、名作も生まれていった。そういうムーブメントが起こって、業界が活性化されたんですね。それに、誰でも最初は模倣から始まる、大事なのは模倣のしかたですから。


 今、エヴァは新劇場版として再生し、来年には完結編が公開されようとしています。1995年に放送されたTVアニメ(先行して半年前に漫画版が連載開始)が、2018年の今も有力コンテンツとして生きている。俺はもう、ミサトさんより年上になっちゃった、と思ったら劇場版Qでミサトさんが俺を追い越した!? 何を言ってるかわからねーと思うが以下略……いいんです、何回でもやりなおせる。リブート、リメイク、いいんです。好きな作品は、納得行くまで手を入れてやる、書き終えても書き損じても、書くのをやめても次がある。それが「」の大事さなんだと思います。

 では、次回の第六章『リレイヤーズ・エイジ - VERSUS INTRUDERバーサス・イントルーダー -』でお会いしましょう! 御高覧ごこうらん、ありがとうございました!

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リレイヤーズ・エイジ - VIVID AVERSIVE EVE - ながやん @nagamono

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