第7話 かみさまと、いじわる

「あ、かみさま」


 早朝に人の家を事前承諾もなく訪ねることは大変失礼な行為に当たるが、かみさまにそんなことは関係ない。こちらが面白ければ、人の都合なんてどうだっていいのだ。


 人の子は、早朝に鍵を勝手に開けて入ってきた失礼なかみさまを見ても特に怒りを感じていないようである。それどころか、こんなに早い時間にかみさまに会えて幸福です──という顔をしていた。


 人の子は、長い金の髪を編みかけているところだった。片側に取りかかったところらしく、もう片方はまっすぐ床に向かって伸びている。


「おはようございます」

「はい、おはようございます」

「今朝は早いんですね──こんな格好でごめんなさい」


 忙しなく髪を整えながら、人の子は恥ずかしそうに顔を伏せた。ぶきっちょなのか、編みかけの髪はとても綺麗な仕上がりとは言えない。かみさまは指を鳴らした。


「あ、あれ・・・・・・?」


 人の子がまばたきをしている間に、長く伸びた髪は、二つのかわいいおさげに変化していた。もちろんかみさまがくれた青いリボンも毛先の方で結んである。


「かみさまがやってくださったのですか」

「ええ、楽でしょう」

「ありがとうございます」


 人の子はぺこりと頭を下げた。神は微笑んだ。


 今日気まぐれに手を加えてやれば、人の子は髪を自分で整えることに慣れない。おたおたしながら編むのを眺める期間が伸びたと思うと、笑みは止まない。

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