第15話 説得
福島行きの日時も場所も決まった。後は準備をして行くだけ……ではない。家族に話して了承を得なければならないのだ。
これが一番の難問だった。反対されるのは分かっている。しかし、もうこれしか選択肢のないことをどのように説明すれば良いのか?
その日の夜俺は、妻が仕事から帰って来るのを待ち構えて福島行きのことを話した。
不甲斐ない夫を持つ妻は、五十を過ぎてから外働きを余儀なくさせられていたのだ。
勿論いきなりということではなく、前からそれとなくは匂わせてはいたのだが、正式にはこの時が初めてである。
福島行きについて、当然のことながら最初は反対された。住む場所も食事も別になれば二重生活となって、少々日給が良くても実収入は減るのではないかというのだ。
俺はまず住む場所について、無料宿舎であることを説明した。それから日給については地元では八千円程度しかなく、福島では二倍以上の一万七千円の日給になると話した。
現状の八千円では生活は破綻するしかなく、福島へ行けば少なくともアパートの家賃の他に十万円程度の仕送りが可能な旨を説明する。
妻はそれでも不服そうにしていたが、かといって他に代替え案もなく、渋々承知した。
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