07 カメラ

その瞬間がとても大切で

いとおしくて

いつまでも味わっていたい飴のように

シャッターを切る


あのとき感じた楽しさも嬉しさも

忘れないように

それを引き金にして思い出せるに

シャッターをまた切る


記録はどんどん積み上がり

無数に増え

ふと振り返る余韻もなくなり

さらに上を目指すように

果てなく増殖する


そして記憶は薄れる

柔らかな温もりに包まれた笑みも

突き抜けて弾け飛んだ楽しさも

抑えきれない期待と満足感も

みな記録に残して

ぬるい安心感だけを抱く


切り取った時間は自分を形成するパーツ

ぼやけた記憶をたどることで

何に気づけるのだろうか

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