第15話とある傭兵の物語 中編

1943年10月 サンディエゴ

どうにか空母機動部隊が再編された。まあ、敵もパナマ沖合で運河から出たところを群浪作戦というやつで輸送船やら軍艦を襲って相当数の船があの海域で沈んだな。

その中にはエセックス級の一番艦エセックスもあった。まあ、そんな感じではあったがあの海域で徹底的な対潜哨戒機とハンターキラー、および大規模護衛船団方式で何とか太平洋サイドに戦力を拡充することに成功はした。そしてその年の12月にハワイ奪還作戦が行われるが、敵もそれを察知していたのか我々が来た時にはすでにもぬけの殻になっていたな。まあ、後で調べてみると燃料基地の燃料はすべて空で弾薬庫も同様に空っぽだったよ。あと補修用パーツやら工作機械など何もかもすべて持ち去られた後だったそうだ。で、奴らの嫌がらせなのかあちこちにブービートラップが仕込まれていたりしたなぁ。まあ、俺は空母乗り組みだったので直接的な被害はなかったがな。で、日系の連中も殆どは満州へと逃げたそうだ。

で、俺は新たにミッキーサイモンという相棒がやってきた。奴はどうやらボストンの金持ちのボンらしいが奴から話を聞くとどうやら不義の子供だったそうだ。

「そうか。金持ちには金持ちの苦労があるというやつか」

「そうなる。予備士官でアナポリスを短期卒してパイロット適性があったからパイロットになったということになるな。ムーアよ」

「ああ。そうか。じゃあ俺がトップでいいのか」

「いいぜ。階級は俺の方が上かもしれないけれど空じゃあまだヒヨコだしな。なんでもジャパンのゼロというのはトンデモナイ飛行機だそうじゃあないか」

「そうだ。俺も二度ほど戦ったが結果はコテンコテンにやられたよ。まあ、旧型のワイルドキャットでだがな。今の新型ではまだ戦ってないのからどうなのかわからんが」

そこから まあ、ソロモン方面からと言いたかったが、残念ながらオーストラリアがイギリスとの同盟堅持という方向でソロモン方面からの進出は不可能。おまけに南シナ海と東シナ海の主だった海峡に大量の機雷がばらまかれているそうでとても使える状況ではない上に、島嶼から基地航空隊がワンサカでとてもではないが無理ということになりアリューシャン方面より侵攻することが決まった。

そこでの戦いは詳しくは言わないがはっきり言えば空母機動部隊の出番は全くなしという状況だった。まあ、何しろ濃霧が頻発する状況でありとてもではないが飛行機を飛ばすには最悪ともいえる環境であった。

そして44年に我々はパナマ運河を超えて大西洋に転戦となりそこで日英の空母機動部隊と戦うことになった。

まあ、アイスランド沖で日本の機動部隊と航空戦を行ったが結果はドローというべき内容だったな。まあ、戦闘機2機落とすもこちらの部隊も相当被害を受けたな。で、日本の方もゼロではなく新型機を配備されており俺達はその新型と戦ったことになったがはっきり言えば速度、機動性はあっちが上という状況だったぜ。名前は陣風という名前だな。コードはトムというコードだそうだが。俺たちはそのトムにさんざんやられたさ。まあ、それでも45年の停戦時には35機叩き落して議会名誉勲章もらったけどな。まあ、最後のケープタウン沖の海戦で旧型のゼロにさんざん追い回されて艦隊にたどり着いた直後にエンジン火災でパラシュート降下させられる羽目になったけれどな。まあ、あの時のパイロットがまさかあの黒羽の天使だったというのをトンボ釣りの駆逐艦に救助されたときに聞いたな。なんでも機番42という数字と黒き翼の天使のノーズアートを持ったTonyに乗っていたそうだ。で、陸軍航空隊の爆撃機乗りとマスタング乗りたちにとっては死を告げる天使とおそれられていたそうだ。

で、俺が交戦した機材は新型ではなく旧式のジークだったが機番は42だったからおそらくそうだろうな。まあ、そのことを知ったのは戦後になってからだが・・・。

そして停戦後どうなったのかは機を改めて語るとしよう。

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