「キャスト・オフ!」(7)

「何してるんですか二人とも」


 何となく分けて考えていたけれど、そういえば二人とも同郷というか、同じ出身なのか。あれ、待てよ? 白雪先輩はともかく、デザートは監視役だったよな。まさか、派手に魔法を使ってるのを察して、なんらかの処罰を加えようと来たのでは?


「いやいや、考え過ぎなの。わたしは結構、不真面目な魔法使いだからね。面白そうだから来ただけだよ。そしたら」


「アタシに会ったっていうこと。懐かしいなー読唇術。アタシも彰彦ちゃん限定で使えるけどね」


「はあ」


 取り敢えず、今のところ危険はないみたいだ。別に味方と言うわけでもないだろうが。


「ねえ、特訓がどーのこーの言ってたのって、あれのこと? 言いたくないけど、あんなんじゃスペードには勝てないと思うけど」


「わたしもそう思うの。というか、スペードに勝てる魔法少女なんて、それこそハートとか他の家の娘ぐらいじゃないかな」


 仲良さそうだな、なんか。魔法界から逃げ出したみたいなことを言っていたが、別に敵対してるわけじゃなさそうだ。若しくは、デザート個人がどうでもいいと思っているのだろうか。


「色々考えているんで。まあ、明日を楽しみにしてください」


 これはハッタリだったが、完全に無策というわけでもない。デザートなら分かっただろうか。


「おお? なんか企んでる感じ? そういうの好きだよ」


「相変わらず趣味が悪いの」


 白雪先輩の不穏な過去を匂わせる発言があったが、スルーしておくとしよう。触らぬ神になんとやらだ。


「わたしもそれが良いと思うな」


「あれ? なんか思ったの、彰彦ちゃん? ひょっとしてアタシに言えないようなこと?」


 くそう。面倒くさい。ってか酔ってんのか?


「……俺、家に戻らないといけないんで、行きますね。くれぐれもナナに見つからないようにしてくださいね! じゃ!」


 返事を待たずに家へと走り出す。別に走るほどの距離でもないけど、追いつかれてぐちぐち絡まれたら面倒だ。

 去り際に後ろを確認したら、白雪先輩がデザートによって羽交い絞めにされていた。なんだよ、有能じゃん。あの二人の力関係も気になるところだが、今は特訓だ。


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