友達の幸せ


その後すぐにSNSの方でも、入籍の報告をした。

今の時代だからか、何だってSNSなんだもの。

そっちの方が手っ取り早いことも多々あるし。


小学校の頃の友達や中学校の頃の先輩後輩。高校の頃の先生や同級生。皆様から一気におめでとうと言うコメントを頂いた。


私と一樹は、中学生の頃から別れたり付き合ったりを繰り返しているので…

それを知ってる友人からは〈ようやくくつっいたか!〉なんてコメントをくれるものもいた。


一樹と私は、出会って10年以上が経過している…もちろん綺麗なことばかりではなかったし、お互いに違う人を好きになったりもした。


けどこうやって、考えると…夫婦になるべくして出会ったのかな?なんて自惚れてしまう。

新婚だから、そう思っても良いよね?


〈美咲、一樹、おめでとう〉


そのコメントをくれたのは、高校の頃の部活の先輩。名前は茜。今はK町に居るとかいないとか?


私は、茜先輩に何かをされたわけではないけども、かなりのくせ者でおまけに虚言癖があるのを知っているから、嫌っている。

嫌っているとは言え、SNS上だけなら無視すれば良いことだし…会うことはお互いにないだろうしと思い。


とりあえず、お祝いコメントも無視。

これが追々面倒な事件になるとも知らずに…


入籍して、数日。


「家のことは美咲に頼んだからな」


そう言って一樹は、生活費を置いてまた海の上の生活へ行ってしまった。

一応は新婚なんだけどなぁ…って言うほど、実は結婚した実感はない。


また一人ぼっちの生活が始まっただけ。

何も悲観することはない。

何せ、私は小説を書くことに夢中だったし…一樹と会えなくても連絡は取り合えるから。


ここで、寂しい~悲しい~ツラい~なんて言ってるようじゃ船乗りの妻は勤まらない。

そもそも、寂しい~なんて言うような年齢でもないし。


一樹が行ってしまって、数日…


スマホが鳴った。中学の頃からの友達である圭ちゃんからだ。


「久しぶり」

『けーちゃん、久しぶりだね!元気だった!?』

「うん。まぁまぁだな」


声にあまり元気が伝わらない。


圭ちゃんは、仙台に住んでいるので年に一回くらいしか会わないが、会わずとも電話をしたりLINEをしたりと連絡をとっているので彼の心配はあまりしていない。

異性の友人ではあるけども、一樹も圭ちゃんとは仲良くしているので、その点特に問題はなし。


「結婚おめでとう」

『ありがとう!長かったよ~』

「美咲達は本当に長かったよな。本当におめでとう」


嬉しいな…自分の過去をちゃんと理解してくれてる人にそういう風に言ってもらえると。


そんなこんなで、色々と話をしていると…


圭ちゃんは「最近さ、アプリで出会った女の子がいるんだよ」と少しだけ自信なさげに放った。


圭ちゃんは私の過去を知っているが、私も圭ちゃんの過去を知っている。

もろもろは省くけども、とんでもない女性と付き合っていたことは間違いない。

そのせいで何処か恋愛にたいして臆病になってると言うことも…

だから、圭ちゃんの口から女性の話を聞いたことで少しだけホッとしたのと同時に一物の不安が浮かんだ。


『良かったじゃん!どんな子なの?』

とりあえず自分の不安はさておき、彼の話を聞くことを選んだ。


「話してて、すごくお互いに似てるところがあって」

『うん』

「この子なら信用できるかなって」

圭ちゃんは、その彼女の話をし始めた途端に声のトーンが上がった。


どうやら、よっぽど気になっているらしい。

一通りの話を聞いた後、先ほどの不安は消えていた。


SNSで出会うとか…って、これを読んでる人のなかには、そう思う人も居ると思うけども。

私は出会い方なんてぶっちゃけ何でも良いと思ってる。

掲示板でもネットでも、道端でも、何かのイベントでも、近所の喫茶店でも、会社でも、人それぞれ出会いがあって、それで結果良い方向にいくなら、それで良いんだもの。


なんなら一昔前に流行った某V系掲示板で出会った男女が結婚したなんて人も身近にいる。

残念ながら私はその掲示板で干されたことしかないが…


圭ちゃんにも春が訪れたんだ!

友達の幸せ話はもちろん嬉しいに決まっている。

圭ちゃんの今までの苦労を聞いていたので、彼には幸せになってほしい。

どうかどうか…その彼女が、圭ちゃんを傷つけるような人ではありませんように。



【SNSで出逢うと言うことに否定的にならないでほしい。

今の時代だからこそ、上手くSNSを使って…出逢うのは一つの方法だと思う。

ただSNSで出会ったからには、お互いにしっかりとした信頼関係を築くことが大事だとも思う。】

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