私、助けに行きたい!
人間がいなくなった部屋から灯りは消え、再び暗闇が支配した。
今夜は満月。
窓からは青白い微かな光が差し込むけれど……
「ハリー、あなたはそこにいるのかしら?」
暗い所が苦手な私の目には灰色の猫の姿が見えない。
音だけが頼りだけれど、物音を立てずに彼はじっとして動かないのか。
それとも、ジミーと一緒に部屋を出て行ってしまったのか。
あるいは……
「ニャー!」
彼は突然目の前に現れた。
そして鳥かごの中をのぞき込んできた。
「あの……ハリー? あなたには私の言葉……分かるかしら?」
「ニャーゴ」
鳥かごに鼻を押しつけて、匂いをくんくん嗅いでいる。
やっぱり彼も私の言葉が分からないのかな。
でも……あの話が私の勘違いじゃなかったとしたら……
ジミーが危ない!
助けに行かなくちゃ!
「お願いハリー! 私をここから出して!」
私はハリーに精一杯大きな声を出してお願いした。
カチャリとロックが外れて小さな扉が開いた。
「ハリー、あなたには私の言葉が分かるのね!?」
「ニャーゴ」
ほっとした次の瞬間――
灰色の猫は鳥かごに頭を突っ込んできた。
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