私、どうしたらいいの?

ドアが開いて人が入ってきた。

つり目気味のメイド。


「ジミー様、お食事の準備が整いました」

「僕はギルチョッパーと一緒にここで食べるよ」

「それは困ります。私が旦那様に叱られます!」

「メーヤが怒られても僕はかまわないさ」


ジミーは山盛りの幼虫をまた差し出してきた。

その背後でメイドは目をつり上げて恐ろしい顔になっている。

でも、ジミーは私の方を向いているから気付いていない。


私は幼虫をついばんで、ごくりと飲み込んだ。


「さあギルチョッパー、もっと食え!」


ジミーは体を揺らして私に声をかけた。

言葉は分からないけれど、楽しそう。

子供らしい無邪気な笑顔。

その背後で見下ろすメイドの怖い顔。


執事とメイドの恐ろしい会話がふとよぎったけれど……

本当に私の勘違いだったの?


このメイドは本当はいい人で、ジミーのために一所懸命に世話をしている。

食事室で聞いた執事との会話はただの仕事の打ち合わせ――


だめ。

やっぱりこの人の顔は怖い。

いくらイメージを変えようとしても、悪い想像しか浮かんでこない。


無邪気な笑顔を向けてくるジミーの肩に、メイドの白い指がかかる。

そして――


「ジミー様、さあ……」


振り向いたジミーの手を引いて、メイドは部屋を出て行った。

銀色のスプーンが床に落ちていた。


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