あの秋とスクールデイズ

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第1話 あの秋とスクールデイズ



「おい!お前の彼女・・・昨日、隣のクラスの山田と歩いてたぞ!どうなってんだよ!?」


「えっ・・・?」


あるはずのない話


笑えないほど信じられない


君を信じてたのに



僕は彼女に別れを告げた。


彼女は「いやだ」と言った


たまたますれ違ったから、一緒に帰っただけだと


「嘘つき、」


僕はそう言ってやった。



初めて噂を聞いた後に、自分の目でも確かめたかった


僕の誘いを断った彼女は足早に教室を出ていった


いや、僕の気持ちが足早に見せたのかもしれない


キスしていた。


僕たちがよく行っていた、あの小道


夕焼けの中で、コスモスが咲いているあの小道で、彼女はキスをしていた。


僕ではない


彼と。



嘘つきと言われた彼女は涙を流し始めた


彼女は悩んでいた  


僕との関係が最近冷え切っていることを悩んでいた


いろんな女友達にも相談していた


それに気づけなかった僕は彼氏失格だ


だけど、なんで僕に話をしてくれなかったんだよ


なんで、幼馴染のあいつなんだよ。



「別れてくれ」


僕の気持ち


彼女に別れを告げた


でも、僕も嘘つきだ


喉の奥に引っかかったままの「好きだ」という気持ちを隠して、「嫌いだ」と彼女をふった


そんな僕が情けない


別れを告げた時、何か自分の神経のようなものが切れた感覚に襲われた


ズーンとどこかを殴られたような感じがした


その痛みが今も胸の中で、行き場をなくしてどこかに行ってくれない


苦しい


そんな僕が情けない


痛みの中で今までの記憶がよみがえってくる


こんな時に限って、楽しい思い出ばかりが浮かんでくる


どうでもいいような二人の時間も、今思えば、本当に大切な時間だった


どうして僕は何もかも終わってしまった後に、大切なものに気づかされるんだろう


僕が彼女に別れを告げた時、


僕は彼女を見た


彼女の何かにすがるような紫色の瞳が


視線が僕の目に焼き付いて、離れてくれない


でも、そんな目を向けられても僕は


僕が好きだった君の声

僕が好きだった君の目

僕が好きだったすっと伸びたきれいな背中


夕日に照らされた紫色の道を歩いている君が忘れられない



僕は彼女の視線から逃れるため


走った



ふっと立ち止まった。


コスモスの花が僕の足元から一直線に咲いていた。


情けないという感情しかわいてこない


情けない、自分が彼女を幸せにできなかったことが情けない


春から秋まで、僕たちは一緒で一つだったのに


君に別れを告げて、君との関係を終わらせたのは


この僕だ


君に別れを告げて、いつまでも一緒にいようという約束を終わらせたのは


この僕だ


僕は正真正銘の裏切り者だ。



夕焼けに照らされながら、涙を流す少年一人


僕の初恋が終わった                       (終)

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