理不尽な世界では綺麗なまま生きられない。でも、神様は確かにいるんだ

悪い妖精に捕まえられて、売春をさせられている少女たち。
彼女たちは記憶と人格を破壊された元・ウィッチガールたちでした。

この小説で描かれているのは、魔法少女モノというにはあまりに理不尽で、汚く、残酷な世界です。
しかし外の世界を知らない彼女たちはどこかのんびりと、けれどしたたかに日常を送っています。

決して綺麗じゃない魔法少女の裏側を描きつつも、この小説は彼女たちが真っ直ぐにぶつかり合い、ときには巧みに交渉し、力づくで我を通し、未来を掴み取ろうとする物語。
理不尽な世界だからこそ輝く彼女たちの愛はこの上なく美しく、奪い取った天国で燦燦と輝くでしょう。

それぞれに思惑を抱いた癖のあるキャラクター、読んでいて滞るところのない柔らかで巧みな筆致にはすぐに引き込まれます。どんどん緊張が高まっていくストーリーからは目が離せなくなり、一気に読んでしまいました。

マリア・ガーネットちゃんとマルガリタ・アメジストちゃんが末永く幸せに暮らせるよう願ってやみません。

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