これは根性腐った魔法少女の、愛と信仰と救いのお話。

みなさんはこの作品のタグを見て、どのような作品を連想しましたか?

「百合」と「アウトロー」は分かる。いいですよねアウトローな百合。
「百合」と「娼館」もまだ分かる。確かに変化球だけどなくはない。というか私は大好きです娼館の百合。
しかしここに「魔法少女」が入るだけで内容がまったく想像できなくなる。「百合」はともかく「アウトロー」と「娼館」で「魔法少女」?昨今剣呑な作風も多くなってる気がする魔法少女界隈ですが、さすがにこの組み合わせは異色。
どんな話か知りたすぎる。そんなあなたは是非どうぞ。

内容は「魔法少女の皮をかぶったマフィア抗争もの」にして「マフィア抗争ものの皮をかぶった正統派魔法少女もの」と言うべきものです。
悪い妖精の治める町で、記憶と人格を壊された魔法少女たちが売春させられ生きている…この描写を見たときは「ヤクザの話だこれ!」となりましたし、本当に魔法少女のお話なのか疑いもしました。
しかし、それでもこれは魔法少女のお話なのです。根性の腐った可愛い女の子が、格好良くて信仰深くて大切な女の子のために精一杯頑張っちゃうお話なのです。特に31話はまさに魔法少女の王道。譲れないもののために前に進む彼女は、紛れもなく魔法少女でした。

加えて、特筆すべきは軽妙かつ表現豊かな文章力。長めの文字数を全く感じさせない読みやすさで、しかしはっきりと情景や感情を伝えてくる描写はかなり実力を感じさせます。正直文字書きの端くれとしては嫉妬すら禁じ得ません。

百合で娼館でアウトローで、それでも確かに魔法少女なマリア・ガーネットとマルガリタ・アメジストが天国に至るまでのお話。是非ともご一読を。

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