第3話20年前の誘拐事件

彼女が告げると透視が行われた。透視中は、誰ひとり喋ってはいけない決まりだ。彼女は唸りながら頭を抱えて、落ち着きない雰囲気で、足を震わせている。


事件の詳細を告げようか――

20年前、デパートから男児がいなくなった。男児の名前は、ハルタくんと名乗る。ハルタくんは当時、家族と一緒に買い物に訪れていた。そして5分間の間にいなくなったのだ。

すぐに捜索願が出され大規模な捜索が行われたが未だ見つかっていない。


防犯カメラには男児がフードをかぶった人物と話している所が映し出されていた。その人物がハルタくんを連れ去ったのだろうか。


身代金の要求はなく20年が経過した。


「と言うことですね」


司会者が言うと、元警部は同調した。


「河川敷が見えます」

「何?」


すると、エリカ様は天を仰いだ。


「すぐ近くの河川敷です。現場に急行してください」

「分かりました」


司会者が番組プロデューサーに指示を出した。すると元警部が苛々しながら立ち上がる。そして、指を向けて言った


「エリカ、お前はただのペテン師だ!」

「ペテン師?」

「そうだ!お前に霊能力があるとは思えない」

「しかし……」

「今に見てろ!何も起きない事を証明してやる!」


すると、エリカ様は激しく両膝を震わせた。


「河川敷の所に、青いビニールシートが見えます!!ビニールシートを剥がしてください」


すると現場に急行した人が告げた。


「現場に到着しました!確かに青いビニールシートがあります」

「ビニールシートを剥がしてください」

「わかりました」


現場に到着した人が、ビニールシートを剥がすと同時に悲鳴を上げた。


「人の白骨死体があります!腐敗は進んでおりますが子どもの頭部でしょうか」


同時に観客席から悲鳴を響かせた。

まさか、生放送中にこんな事が起きるなんて誰も想像していなかった。それを見た僕は酷く動揺した様子でモニターを眺めている。


「由香ちゃん、あれ子どもの頭部だよ!」

「うるさい、黙れ!」


由香はそれを見て、天を仰いだ。


「すぐに警察に連絡してください」


そこでVTRは終了し、スタジオへと戻ったのだ。

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